リーダーは親のようなもの
リーダーになるのは、親になるようなものだ。そして入社とは、新たな家族の一員となるようなものだ。一致団結して成功できれば、忠誠を尽くしている家族のシンボルとして、社名を誇らしく思う。
敵、ライバル、対抗勢力と見なさずに、信頼できる味方として同僚と関わるからこそ、組織は大きな成果をあげる事ができる。私達は充分、外部からの危険にさらされている。そこに内部からの脅威が加われば、組織として機能するはずがない。
安心感の砦を築くこと
見事な成果をあげるグループの能力は、メンバーがどれほどチームとして一致団結できるかにかかっている。屈辱感や孤立感を覚える、自分が無能に思える、周囲から拒絶されているように感じる。これらはすべて組織の内部にいる人間が避けようとするストレスだ。とはいえ、内部の危険はコントロール可能である。組織内部の人間が互いに全く危険を感じずにすむ文化をつくりあげるのが、リーダーシップの目標であるべきだ。
それを実施する方法がいくつかある。1人1人に帰属意識を覚えてもらうこと。人間らしい価値観と信条を明確にした強い文化を作り上げること。部下に権限を委譲すること。信頼と共感を持ってもらうこと。いわば「安心感の砦」となる「サークル・オブ・セーフティ」を作り出せば、部下はグループ内で脅威を感じずに済む。すると、ストレスから解放された部下は、外部の絶え間ない危険から組織を守る作業に時間とエネルギーを注ぐようになり、大きなチャンスを掴む事ができる。
会社の強さと耐久力は、製品やサービスの良し悪しで決まるのではなく、社員がどの程度一丸となって協力しているかにかかっている。だからこそ、グループの1人1人が「サークル・オブ・セーフティ」を維持すべく、自分の役割を果たさなければならない。そして社員がそうできるよう確実を期すのがリーダーの役割だ。
リーダーのためのレッスン
①社風が会社の行動を決める
強い企業文化があれば、社員は似たような愛着を会社に持つ。文化の基準が品格、価値観、信条といったものから、業績や数字など非人間的な測定値へと移行すると、信頼や協力への意欲が弱まる。
②リーダーがする事を文化も倣う
社風を作るのは常にリーダーである。リーダーが他人よりも自分を優先する風潮を作れば、強い恐怖心と不信の文化が生まれる。
③誠実であれ
リーダーシップとは、誠実であること、正直であること、説明責任を全うする事だ。深い信頼と忠誠心を部下にもたせるには、まず真実を伝える事から始めればいい。
④友情が大切
真の意味で部下を導くには、通路を歩き、自分が奉仕している部下と時間を過ごさねばならない。
⑤頭数ではなく、人々を導く
まず社員が会社を愛さなければ、顧客が会社を愛する事はない。