日本企業で女性人材が育たない原因は、日本企業の雇用慣行にあると指摘し、女性人材を活用するための政策を提言している本です。
■企業の思い込みが女性人財の浪費をもたらしている
日本の企業で女性人財が育っていないのは、女性の意識に問題があるのか、それとも企業が育てる努力をしていない事から生じているのか。実際、両方の要因が相互に影響しあっており、その因果関係を明らかにする事は容易ではないが、企業の雇用管理制度には、より大きな原因がある。その根拠の1つが、高学歴女性の離職理由である。調査の結果は、結婚や出産よりもキャリアの発展のなさを理由に上げている女性が若い世代になるほど増えているからである。つまり、やりがいが感じられる仕事が与えられない事が高学歴女性の離職や転職につながっているのである。
ところが企業側は、女性の意識(専業主婦願望)に問題があると考えている。そのために、コース別人事管理制度を導入したり、男女の昇格や昇進の時期に男女差を設けたりして、女性を選別してきた。それが逆に女性の離職や短期勤続をもたらしている。つまり、女性の離職による人材育成コストのロスを避けようと男女で昇格の機会に差を設ける事が逆に、女性の離職や管理職候補の減少を予言の自己成就させる形になっている。
日本で女性が活躍しづらいのも、少子化の流れを変える事ができないのも、もとはと言えば、男性が一家の稼ぎ手として作られたシステムを21世紀にふさわしい共働きモデルに変える事ができていない事による。
著者 大沢 真知子
日本女子大学人間社会学部現代社会学科 教授 同大学現代女性キャリア研究所 所長 コロンビア大学社会科学センター研究員、シカゴ大学ヒューレット・フェロー、ミシガン大学ディアボーン校助教授、日本労働協会(現労働政策研究・研修機構)研究員、亜細亜大学助教授を経て、現職。専門は労働経済学。
帯 作家 桐野 夏生 |
日本経済新聞 |
日経ビジネスアソシエ2015年5月号 |
PRESIDENT WOMAN(プレジデント ウーマン)2016年9月号(VOL.17)「泣けるステキな本&映画」 国学院大学経済学部教授 水無田 気流 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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プロローグ | p.1 | 4分 | |
第1章 高学歴女性が仕事を辞める本当の理由 | p.7 | 29分 | |
第2章 少子化はなぜおきたのか | p.49 | 32分 | |
第3章 女性管理職はなぜ少ないのか | p.95 | 38分 | |
第4章 静かな革命はおこせるか―ポジティブ・アクションの可能性を探る | p.149 | 43分 | |
第5章 高まる経済リスクと将来不安の増大 | p.211 | 42分 | |
終 章 まとめと政策提言 | p.271 | 8分 |