今ここに意識を向ける
私達の意識は、たいがい過去や未来に向いていて、めったに今この瞬間に向いていない。心を落ち着かせる能力、今ここに心を置く能力は、私達一人ひとりの生活の質を高めるだけではない。企業が事業をよりよくし、より大きく発展させていく上で、欠かせないものになりつつある。
今ここに意識を向けなければ、集中はできない。ひっきりなしにメールやツイートが舞い込んでくる現代の生活で、なかなか完全に心を今ここに置けない。集中できるようになるためには、心を満たすだけではなく、心を空っぽにする術も身につける必要がある。大抵の場合、私達に足りないのはさらなる情報ではない。スティーブ・ジョブズの言葉からも伺えるように、必要なのは心を落ち着かせる方法だ。心が落ち着いてはじめて、本当に独創的な考えは浮かぶ。
スペースを広げる
アメリカ人は毎日およそ12時間、情報を消費しているという。そんな世界では、心のスペースは狭まる一方だ。しかし仕事に没頭するのにも、何かを創造するのにも、心のスペースは欠かせない。心に広々としたスペースがなければ、明晰に考える事も、創造的に考える事も難しい。
スペースが広いか狭いかで、感情の受け止め方は異なってくる。感情をコントロールできる内面の力を養えば、おのずと創造的な能力も大きく高まる。ストレスが生まれるかどうかは、感情とどう向き合うか、どれほど広い心のスペースを持ち合わせているかで決まる。ストレスを除去するには、どんな事実であっても、正面から向き合って、受け止めればいい。直視し、受け止める事で、ストレスは和らぐ。
静寂と仲良くなる
心につまらない考えが浮かんできた時、私達は静寂を追い払おうとしやすい。すぐに誰かに電話をかけたり、あてもなくネットを見たり、テレビをつけたり、特に聴きたいわけでもないのに、iPodで音楽をかけたりする。すべては静寂の中にいると落ち着かないせい、喧噪の力で恐れや不安を忘れようとするせいだ。そういう事を繰り返していては、雑念の奥に隠された知恵や直感、静寂の中ではじめてアクセスできる深い洞察に達する事はできない。
大事なのは、心を落ち着かせて、感覚を研ぎ済ませられるかどうか、はっきりと自分の考えが見えるようになるかどうかだ。そのためには考える事の内容ではなく、考える事のスピードを変える必要がある。スピードを落としさえすれば、既にそこにあるものはたやすく見つかる。そのための一番確実な方法は、静寂と仲良くなる事だ。