技術革新だけではイノベーションは成功しない。シリコンバレーのコンサルタントが、イノベーションを起こすために必要な事は何かを解説し、日本企業に不足しているものを説明しています。
■ユーザーに価値があってこそイノベーション
「イノベーション」という言葉は日本では技術革新の意味に用いられる事が比較的多い。しかし「イノベーション」とは次のように定義される。
「物事に新しいやり方を採用し、ユーザーに価値を提供するもの」
この定義には「ユーザーに価値を提供する」という言葉が入っており、さらに「技術」という言葉が入っていない。イノベーションは、ユーザーに価値があって、初めてその意味がある。技術革新が起こっただけではイノベーションが起こせた事にはならない。
日本はシリコンバレーから見て、技術革新という点で、決して遅れているように思えない。しかし、技術を元に「ユーザーに価値を提供する」という点が苦手である。日本の発想は、まず何か革新的な技術を作ろうという事で技術開発に走る。そして、面白い技術ができた時に何に使うかで行き詰まる。シリコンバレーの発想は逆で、世の中の人々のニーズは何か、ウォンツは何かというところから出発し、それに必要な技術は何かを発想している。
研究開発を元に技術イノベーションを起こし、新技術を無事開発できたとしても、それだけでは、ビジネスとして成功しない。まだユーザーに価値を提供していないからだ。開発した新技術をビジネスとして成功させるためには「ビジネス・イノベーション」が必要となる。
このビジネス・イノベーションこそが「物事に新しいやり方を採用し、ユーザーに価値を提供するもの」だ。
著者 黒田 豊
カーディナル・コンサルティング・インターナショナル・マネージングディレクター 日本IBMおよびIBMアジア太平洋地域本部通信システムズ担当プロダクト・マネージャーを務めた後、SRIインターナショナル(旧スタンフォード研究所)プリンシパル・コンサルタント、アジア・プログラム・ディレクターを歴任。 その後、ベンチャー企業2社で、アジア太平洋ディレクターを歴任。現在、カーディナル・コンサルティング・インターナショナル・マネージングディレクター(CEO)、株式会社コンピュータマインド社非常勤取締役、未来学園LLC理事長。 インターネットをはじめ、情報通信電子分野に関連したビジネス・コンサルティングを日本企業を中心に各国の企業に対し提供している。
帯 NTT元副社長 宇治 則孝 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.3 | 4分 | |
序 章 イノベーションを成功させるには ―2つの異なるイノベーション― | p.15 | 5分 | |
第1章 シリコンバレーに学ぶイノベーション | p.23 | 57分 | |
第2章 日本におけるイノベーションの課題と解決策 | p.115 | 31分 | |
第3章 日本が進むべきイノベーションの道 | p.165 | 37分 |