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2015/01/15更新

リバース・イノベーション2.0 世界を牽引する中国企業の「創造力」

  • 徐航明
  • 発刊:2014年11月
  • 総ページ数:256P

206分

2P

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リバース・イノベーション2.0の特徴

グローカリゼーションからリバース・イノベーションへという発展の流れは、当初、グローバル企業が新興国で生み出した商品を先進国へ展開する事が中心となっていた。その後、単純な商品の枠を超え、今では広義のリバース・イノベーションとして、ビジネスモデルや経営管理などにも対象を広げている。同時に、新興国の企業から始まったイノベーションが、先進国にも展開されるようになった。こうしてリバース・イノベーションは「リバース・イノベーション2.0」というべき新たな段階に入った。

「リバース・イノベーション2.0」すなわち「中国発のイノベーション」と、いわゆるリバース・イノベーションの最大の違いは、前者の主体は新興国(中国)の企業、後者は先進国のグローバル企業であるという点だ。リバース・イノベーション2.0では、中国企業が自国の市場に合わせて開発した商品やサービスが先進国で応用され、中国で生まれた新しいビジネス手法が先進国のグローバル企業に採用されている。

リバース・イノベーション2.0には中国ならではの特徴がある。

①最先端ではなく「最適な」技術
最先端ではなく、ユーザー目線で最適な技術を提供するという事は、中国企業が成功を収める上で重要なポイントの1つである。先端技術で自己満足するのではなく、いかにユーザーを満足させられるかが重要である。

②社会ネットワークによる大衆のイノベーション
中国では、個々の企業が主導するイノベーションとは異なり、企業、経営者、消費者、行政の密な連携による巨大な社会ネットワークが、試行錯誤によってゼロから1つの産業を創り出す事が稀でない。それを支えるのは膨大なマス市場の可能性と、部品を提供する部品メーカーの存在だ。

③独自ではなく、グローバルリソースからの価値創造
コア技術を持たずとも、他国の企業の技術を有効利用する事で、イノベーションを起こせる。

④技術と社会の両輪のイノベーション
国家、社会、政治、文化などの分野において、経済や技術の発展の障害となる体制や規制を改革する事も、一種のイノベーションといえる。「中国発のイノベーション」を担う企業の多くは、市場経済が先に導入された「特区」の環境を活用し、零細企業からスタートしている。

イノベーションの実験場

海外からもたらされた技術と中国の巨大な市場が融合すれば、基礎技術や基幹技術がなくとも、イノベーションを起こす事が可能になった。

イノベーションを起こすには、個人や組織の創造力に加え、市場、資金、技術など、様々な条件が必要だ。「世界のR&D拠点」といわれる現在の中国は、アメリカに次ぐ最大の「モノ、カネ、ヒトの集積地」となった。優秀な人材が集まり、先進国からの技術とノウハウの移転が加速している。