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2015/01/05更新

ビジネスモデル・エクセレンス ハイアールはなぜ白物家電の王者になれたのか

302分

2P

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高い品質でブランドを構築する

1985年のある日、不満を抱えた客が不良品の冷蔵庫を工場に持ち込んで張に見せた。張とその客は一緒に400台ある在庫をすべてチェックして、代わりの製品を探した。その過程で、張は在庫商品の20%が受け入れ難いレベルの品質である事に気付いた。そこで、張は76人の従業員に、76台の低品質な冷蔵庫を表の通りへ運び出させ、公衆の面前で巨大なハンマーを使って粉々に破壊させた。新品の価格で売る事ができた製品をだ。

この出来事により、中国のほぼすべての消費者の頭の中で、ハイアールというブランドと品質が強く結び付けられた。張は早くから品質とブランドの重要性、その2つの関係性に気付いていた。

徹底した管理プロセスを導入する

張は高品質が新たなビジネスモデルの核となると信じていた。それを実現するには、従業員一人一人に責任がある事をわからせなければならない。新たな企業文化の実現に向けたルールを明確に策定し、規律を教え込むために、違反者には処罰を与えた。

張は1989年に「OEC(その日の仕事をその日に終え、その日の内に実績や不足分を確認し、翌日の目標を設定する)プロセス」を全社レベルで取り入れた。業務に求められる要件をすべて文書化し、従業員の実績やそれに基づく給与規準を設定し、それら要件に照らして評価した。

OECは高い品質を促進するための効果的なツールだった。これにより青島冷蔵庫の経営の精度、管理プロセス、インセンティブ制度、従業員の働きぶりなどが向上していった。また、独特の企業文化の構築にもプラスに働き、優秀な従業員を報い、縁故主義やえこひいきを排除する文化が醸成されていった。

自己管理という考え方は、OECスコアを下げる要因の改善を作業員に奨励するところから始まり、ハイアールが進化する中でも連綿と続いてきた。現在でも、より早く、より良く、より競争力のある組織をつくろうと努力する過程でこの考え方がすべての中核にある。

顧客との距離をゼロにする

新しいビジネスモデルと企業文化によって業績を伸ばした青島冷蔵庫に、地方や国家レベルの政府関係者たちは感心した。そして、他の赤字企業の救済者として張瑞敏に目をつけた。中国では、地方政府と良好な関係を維持する事が企業にとっては重要になる。青島冷蔵庫は要望に応える形で冷蔵庫やエアコン、洗濯機、アイロン、テレビなどを製造する会社を次々に吸収合併した。それら企業に対し、品質管理の改善を指導した。

張は、外国企業との競争時代の到来に直面して、成功するためには、ハイアールが単なるメーカーから顧客中心主義の企業になる必要があると確信していた。これを実現するため、すべてのユニット、業務、従業員が市場連鎖で直接顧客とつながる事ができる組織を築いた。