月間200万PVのアクセス数を持つ人気ブログ「Chikirinの日記」が、どのように運営されているのか、何をきっかけにブレークしたのかが書かれた本。無名の会社員がなぜ、人気ブログを書くまでに至ったのかがわかります。
■思考の記録としての日記
日記を書き始めたきっかけは、小学校5年生の時に『二十歳の原点』(高橋悦子)を読んだこと。著者は学生運動が激しかった1960年代に立命館大学の学生で、生き方や恋愛に悩み、20歳で自ら人生の幕を閉じた。彼女の死後、その日記が出版され、ベストセラーになった。偉人でもない一般人の思考の記録、生き方の記録が、これだけ強烈なインパクトを読者に与えるのだという事に衝撃を受け、日記を書き始めた。
その日記を「Chikirinの日記」として、初めてネット上に公開したのが2005年3月。日記歴は25年と、10年近く書いているブログより、2倍以上長い期間にわたっている。時々「ブログネタをどうやって見つけているのですか?」と問われるが、「日記を書くためにネタを探す」という発想はない。今日、考えた事を文字にして書き留める。それはご飯を食べるといった事と同じくらい日常の行為なのである。
昔から日記とは「今日はこんな事を考えた」という思考の記録であって「今日は何を食べた。今日はどこに行った。今日は誰と会った」という行動の記録ではなかった。
■ブログの書き方
1つのエントリを書く時間は、文章だけなら30分。図表を作ったり、掲載写真の修正をしたりする場合は、1時間以上かけて書いている。そして、伝えたいメッツセージは1エントリにつき1つだけ。「何を書くか」ではなく、「今日は何を伝えようか」が最初に決まる。それは、誰かと話している時や、本や雑誌を読んでいる時、ネットで遊んでいる時、お風呂に入っている時などに、いきなり「あっ、コレを伝えたい」と突発的に浮かぶ。
伝えたいメッセージが決まれば、それをわかりやすく伝えるための論理構成を考え、使えそうな事例やデータをネットで探す。そして、なめらかに発音できる文章を書く事を気にしている。読み手にとって楽しい文章だろうと、音読感の良い文章を心がけている。
■自分のメディアを作るための5か条
①コンテンツを散逸させない
最もおもしろい、最も新しい文章は、常に自分のサイトで発表するのが原則である。
②ネットの中の人にはならない
ネットに関係の薄い仕事をしている人たちは、ネット内だけで使われる言葉や、その流行りを知らない。それなのにサイト上でネット用語が溢れていたら、それの人たちに「このブログは自分向きのサイトではない」と判断されてしまう。
③つながる世界でつながらない
「ネット内のトレンドに詳しくない読者」にとっては、自分にはよくわからないネタで盛り上がっているブログを読むのは面白くない。盛り上がっているから、今日はこのテーマについて書くという行為は、主体性が感じられない。自分が最初に面白いトピックを発信し、他の人が自分を追いかけてくれる方が、サイトの価値も上がる。
④オープンな場所に居続ける
有料のメルマガやサロンで集められる人数は、誰であってもブログやツイッターなど、無料かつオープンなプラットフォームで集められる人数とは、ケタが1つか2つ違ってくる。誰でも読めるオープンな場所にいる事を大事だと考える。
⑤信用力を売らない
信用力を築くにはとても時間がかかるのに、壊れる時は一瞬である。そのため、投資関連企業やマネー誌、世論を二分する賛成・反対論を抱える企業からの取材や執筆依頼は受けない。
著者 ちきりん
作家、ブロガー バブル期に証券会社に就職。その後、米国での大学院留学、外資系企業勤務を経て2011年から文筆活動に専念。 2005年開設の社会派ブログ「Chikirinの日記」は、日本有数のアクセスと読者数を誇る。
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
週刊ダイヤモンド2014・2015年12/27・1/3合併号[雑誌] 三省堂書店営業本部課長 鈴木 昌之 |
PRESIDENT (プレジデント) 2015年 1/12号 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
第一章 出発点 | p.19 | 15分 | |
第二章 ブレーク! | p.49 | 16分 | |
第三章 自分のメディアへ | p.81 | 15分 | |
第四章 今、そしてこれから | p.111 | 26分 | |
GROWTH | p.165 | 7分 | |
CAREER | p.179 | 13分 | |
RELATION | p.205 | 8分 | |
EDUCATION | p.221 | 8分 | |
POLITICS | p.236 | 10分 | |
BUSINESS | p.256 | 13分 | |
さいごに | p.282 | 3分 |
二十歳の原点 (新潮文庫) [Amazonへ] |