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2014/12/17更新

依存症ビジネス――「廃人」製造社会の真実

348分

3P

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知らない間に依存的行動を生む

現代ほど、自分の気分を変えてくれそうに見える魅力的な物や経験がこんなにも多量に手に入る時代はない。依存症が物質の乱用に限られた事は今まで一度もなかった。今日では私達がハマりかねない新たな「物」や「プロセス」や「関係」が毎週のように、テクノロジーを介して届けられている。

とまどうばかりに多彩な経験を消費者に提供する現在の世界市場。そういった経験は、喜ばしいものであると同時に危険をはらんでいる。これまで病み付きになるとはみなされていなかった製品や経験が、常に改良され続け、市場に投入されているのだ。社会全体が、快楽を与える脳内物質の流れを操作する新たな方法を学びつつあるという実態には、懸念を抱いてしかるべきである。

カップケーキ、iPhone、鎮痛剤バイコディンに備わる依存的な特質は、一見しただけではわからない。私達は予備知識のない消費者として、脳にどんな影響を与えるかほとんどわからない商品に、惹き付けられるようになっているのだ。

入手しやすさが依存症の鍵

マイケル・ゴソップの調査によれば、依存症の鍵となる要因は「入手しやすさ」だ。社会において薬物が入手しやすければしやすいほど、より多くの人がそれを摂取する可能性は高くなり、そうした人々が問題を抱える可能性も高くなる。ゴソップは、依存症は「習慣」だと言う。モノが潤沢に溢れている社会では、入手しやすさに駆られた「依存という習慣」が意味するものは、機能不全に陥っている脳を持つ特定の個人だけを狙い撃ちにする「依存という病気」が意味するものと同じぐらい気がかりである。

欲しいという衝動

神経伝達物質ドーパミンは、快楽の経験に影響を与えるだけでなく、脳内に新たな報酬経路をマッピングする能力を持つ。つまり、脳の報酬経路を書き換える事ができる。最近の科学では、ドーパミンは「好き」という衝動よりも「欲しい」という衝動の方に深く関わっていると考えられている。「欲しい」と「好き」の衝動の強さは、「欲しい」の方が大きい。

私達は、ドーパミンに誘発された快楽を経験すればするほど、その経験を繰り返したくなる。しかし、報酬経路が再配線されて耐性のレベルが上昇した結果、その行為から満足感を得るには、いっそう努力しなければならなくなる。だからこそ、依存者は常に、より大きなハイを求めているように見える。

ドーパミンの恍惚感は、わざわざ薬物を摂取しなくても経験できる。キュー(合図)を受け取るだけで十分だ。食物の匂いや見た目だけでも、ドーパミンの産生量は増加する。

だからこそ、私達は、潜在的な依存的本能を引き出す環境を、自ら作り上げた事実に気付かねばならない。