「非凡な現場」は競争優位につながる。
いかにして優れた現場力、組織能力をつくりだせば良いのかを解説する一冊です。
■現場とは何か
概念:現場とは過去から未来に向かって進行する中の「いま・ここ」である。
目的:現場は価値創造を実行するために存在する
役割:現場は価値創造に必要な業務を日々遂行し、人材を育てる
特性:現場には可能性がある一方で、「人の固まり」という特性からリスクもある
現場をコントロールする事は容易ではない。だからこそ、現場にはマネジメントが必要である。人間の能力が努力と研鑽によって磨かれるのと同様に、現場力という組織能力も理詰めで粘り強い経営努力によって改善する事が可能だ。
■愚直さが非凡な現場を生む
大半の企業の現場力強化の取り組みは、単なる「活動」で終わってしまっている。それに対して「非凡な現場」の活動は、時を経て「組織能力」にまで昇華されている。「活動」と「能力」は全くの別物だ。それを認識する事が、現場力という組織能力を高めるための最初の一歩である。
活動が一過性的で短期志向であるのに対し、能力は持続的で長期志向である。現場における「知識創造活動」を「知識創造能力」へと転換できるかどうか。現場力を高め、「非凡な現場」をつくる鍵はここにある。
「活動」を「能力」へと高める事ができるかどうかの差は、「愚直」に活動に取り組んでいるかどうかである。愚直さは「非凡な現場」をつくるために欠かせない要素である。ありふれた活動でも、愚直に取り組めば必ず「成功体験」をもたらし、それが愚直性を強化し、やがて組織能力化する事ができる事を教えてくれる。
■何のために活動し、何にこだわって活動するのか
活動が能力へと昇華し、差別化された卓越した現場力が生まれた背景には、「戦略」「能力」「信条」という3つの異なる要素が絡み合い、リンクしている。
①戦略レベル
どのような差別化、ポジショニングを目指すかという経営の戦略目標・方針
②能力レベル
戦略を実行し、価値創造を行う組織能力の構築・強化
③信条レベル
企業活動を底辺で支える共通の信条、価値観の共有・浸透
「戦略ー能力ー信条」を一体化させる。策定された戦略が現場に展開され、一人ひとりが戦略の方向性を理解し、納得し、行動に移す事が重要である。現場力という組織能力を高める鍵はここにある。
著者 遠藤 功
1956年生まれ。早稲田大学大学院商学研究科(ビジネススクール)教授 株式会社ローランド・ベルガー日本法人会長 大学での教職、経営コンサルティング活動に加え、講演、研修、執筆など多方面で活躍している。
日本経済新聞 |
TOPPOINT |
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週刊 東洋経済 2014年 12/6号「マンション防災・修繕・管理 完全マニュアル/外食、苦しむ! /ゼンショー小川賢太郎 すき家へのブラック批判にすべて答える」 福山大学経済学部教授 中沢 孝夫 |
日経ビジネスアソシエ 2015 年 02 月号 [雑誌] |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.3 | 10分 | |
第1章 現場とは何か | p.37 | 19分 | |
第2章 競争戦略論と組織能力 | p.67 | 13分 | |
第3章 現場力とは何か | p.87 | 25分 | |
第4章 「非凡な現場」をつくる | p.125 | 17分 | |
第5章 「合理的な必然性」とは何か | p.151 | 26分 | |
第6章 現場力を進化させる道筋 | p.193 | 29分 | |
第7章 「合理的な仕組み」とは何か | p.237 | 22分 | |
第8章 ナレッジワーカーを育てる | p.271 | 32分 | |
第9章 経営者の役割 | p.321 | 13分 | |
おわりに | p.341 | 4分 |
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