心理学者の著者が、卒業アルバムの写真の特徴をもとに、その後、幸福な人生を送れているのかを調査した結果、人の将来は卒業アルバムの写真である程度予測できると紹介しています。


■最初から相手の好みは決まっている
長年にわたる進化のおかげで、私達の脳には恋人候補に対する好みがプログラムされている。進化論的見地では、あらゆる生物の第一の目的は、自身の遺伝子を次世代に伝える事だ。ゆえに、恋人や結婚相手を選ぶのに細心の注意を払う。

私達は恋人候補全員を偏見のない公平な目で見ているわけではなく、最初から好みの相手が決まっていると言ってもいい。そういった先入観に満ちた嗜好によって、生殖活動の成功率が格段に上がるからだ。

心理学者デヴィッド・バスが行った有名な研究で「未来のパートナーに何を求めるか」を世界各地の1万人以上の人に尋ねるというものがあった。結果は、男女共に長期的なパートナーに優しさと知性を求めたが、財力を重視する女性は男性の2倍以上で、それに関しては、人種や政治体制、宗教や大陸による差はなかった。

離婚するか否かを、一枚の写真をもとに予測する事はできるのか。卒業アルバムの写真で満面の笑みを浮かべていた人に比べて、さほど笑っていなかった人の離婚率は5倍にのぼった。

一枚の写真の笑顔の状態だけで、結婚の結末や性格や寿命が常に予測できるわけではない。だが、個人差があるにせよ、一般的に、写真の中で笑っている人は、笑っていない人に比べて、結婚生活も順調で長生きする。

著者 マシュー ハーテンステイン

デポー大学准教授 心理学者。卒業アルバム写真を何百枚も集め、笑顔の度合いを点数化して、後年の結婚生活を検証したところ、あまり笑っていなかった人の離婚率が満面の笑みの人の5倍にのぼるという研究を発表し、『ウォール・ストリート・ジャーナル』などで大きな話題を呼んだ。 このほかにも独創的な将来予測研究や、発達心理学を中心に研究を行う。『トゥデイ・ショウ』『ABCニュース』などのコメンテーターを務め、『ニューヨークタイムズ』『エコノミスト』『ガーディアン』などにも寄稿するなど、一般への啓蒙活動も活発に行っている。