ドワンゴ創業者として、ニコニコ動画を育てあげ、KADOKAWA・DWANGOの会長となった著者が、メディア、コンテンツビジネス、生き方といった様々なテーマについて語った一冊。
■「わからない」ところには競合もいない
みんなが何をやればいいのかわからない状況だと、そこに競合相手がいない可能性が高い。誰も予測がつかない。それは、逆に成功しやすい状況だ。元々、ドワンゴはそういう会社だった。何者かよくわからないから、競合相手がいなくて独自のポジションを確立できた。そして、KADOKAWA・DOWANGOとなれば、さらにわけがわからなくなる。
ドワンゴは、基本いきあたりばったりだが、結果的にすごく計算ずくだったような状況になる事が多い。例えば、2012年に初めて開催したニコニコ超会議。今振り返れば、確実に今のドワンゴ、ニコニコ動画にとってプラスに働いている。ウェブサービスは結局マインドシェアの奪い合いだからである。ミクシィがSNSとして衰退したのは、世間的に「終わった」とレッテルを貼られたから。ニコニコ超会議があるから、とりあえずネット文化の中心地はニコ動にあると思わざるをえない。
選択肢の数は重要である。選択肢の少ない世界は競争が激しいから、ひとつ失敗すると終わり。KADOKAWA・DOWANGOはめちゃくちゃ選択肢が多い。
博打に見える事を成功させるというのは、賭けに確実に勝つという事である。「賭けに勝つ」という事は「賭けをする」という事とは違う。サイコロを振るという事ではなくて、サイコロで勝つ目を出す、ということ。
多くの人はニコニコ動画を始めた事が博打だと思っているが、そうじゃない。実際はもっと細かくて具体的な博打の集積である。例えば、ひろゆきに協力を頼んで、引き受けてもらえるかどうか。何人がサイトに来て、何人が定着するのか。実際はそういう小さな博打をたくさん積み重ねている。決して1回大きなサイコロを振ったという話じゃない。必要なのは勇気でも何でもなく、計算である。
著者 川上量生
1968年生まれ。KADOKAWA・DWANGO代表取締役会長 ドワンゴ 代表取締役会長 大学卒業後、コンピューターの知識を生かしてソフトウエアの専門商社ソフトウェアジャパンに入社。同社倒産後の1997年、PC通信用の対戦ゲームのシステムを開発する会社としてドワンゴを設立。2000年に代表取締役会長に。2003年に東証マザーズ上場、翌年に東証1部に市場変更。 独自の発想で携帯ゲームや着メロなどのサービスを次々とヒットさせるほか、2006年には、子会社のニワンゴで「ニコニコ動画」を開始。その後も「ニコニコ超会議」や「ブロマガ」など、数々のイベントやサービスを生み出している。
日本経済新聞 |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
週刊ダイヤモンド2015年2/7号[雑誌] エンターテインメント・アナリスト 笹井 裕子 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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1 KADOKAWA・DWANGOはこうつくる | p.9 | 14分 | |
2 ニコニコ動画のつくり方 | p.35 | 32分 | |
3 ニコニコはこう動かす | p.93 | 23分 | |
4 バカにはバカと言い、計算ずくでバカをやる | p.135 | 33分 | |
5 論理をとことん考える。 | p.195 | 23分 | |
6 1億年先を考える | p.237 | 20分 |