既成概念にとらわれない
大部分の人にとって、イノベーションの最良のチャンスは交差点にある。そこでは単に素晴らしいアイデアの組み合わせが見つかるだけでなく、より多くの組み合わせが見つかる。交差点は、人の移動、科学の相互乗り入れ、コンピュータの飛躍的進歩によって、かつてない勢いで増え続けている。
交差点を見つけるための必要条件は、連想のバリアを低くする事である。一般に脳は、物事に秩序を見出したり、概念を分類してグループ化したり、周囲の環境に構造を見つけたりする事を好む。つまり、人間の連想の連鎖は、過去の体験に関連した領域に集中する。これは人間を分析から行動へと効率よく駆り立て、大きな恩恵をもたらす一方で代償も大きい。連想の連鎖のおかげで、私達は幅広い思考を阻まれてしまう。連想のバリアを壊す事に成功した人は、次のいずれかの共通点がある。
・様々な文化に触れた経験
・既成の教育にはない学び方
・思い込みを逆転する
・違う視点に立って物事を見る
偶発的組み合わせを増やす
連想のバリアを壊す事に成功すれば、異なる分野の概念同士を偶発的に組み合わせる事に対して、よりオープンになれる。こうした組み合わせを完全にコントロールする事は不可能でも、それが起きるチャンスを増やす事は可能である。
①職の多様化
異なる職業やプロジェクト、あるいは趣味に手を染める事で異なる分野の間を行き来する事は、予測しないユニークな発見をするチャンスを増やす効果的な方法となる。
②多様な構成のグループ
専門分野だけでなく、文化、民族、地理的背景、年齢、性別などメンバーが多様であれば、異なる視点やアプローチ、考え方などが出てきやすいし、予測不能な概念の結び付きが生まれる可能性が高まる。
③交差点ハンティング
交差点ハンティングとは、結び付きがありそうもない場所にそれを探し、見つかった結び付きが何をもたらすかを明らかにする事である。今やっている事をしばしば中断し、メモ用紙を手に、一見無関係な物と目の前の問題との間に結び付きをつくろうとしてみる。
アイデアの量がイノベーションを生む
アイデアの質と最も強力な相関関係にあるのは、アイデアの量である。イノベーターは成功したから多くを生み出すのではなく、多くを生み出すから成功したのだ。
2つの異なる分野が結びつくと、ユニークな概念の組み合わせが飛躍的に増加し、アイデアの爆発といった状況が生まれる。異なる分野間の交差点は、ただ単に異なるアイデアが集まるだけでなく、数多くのアイデアが集まる事を可能にする格好の環境でもある。交差点でおびただしいチャンスを物にするには次の3つがある。
・深さと広さのバランスをとる
・積極的に多くのアイデアを出す
・評価には十分時間をかける