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2014/10/07更新

弱いつながり 検索ワードを探す旅

  • 東 浩紀
  • 発刊:2014年7月
  • 総ページ数:164P

57分

3P

  • 古典的
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  • すぐ使える
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  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

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ノイズにこそチャンスがある

ネットは階級を固定する道具である。人が所属するコミュニティの中の人間関係をより深め、固定し、そこから逃げ出せなくするメディアがネットである。

世の中の多くの人は、リアルの人間関係は強くて、ネットはむしろ浅く広く弱い絆を作るのに向いていると考えている。これは本当は全く逆である。ミクシィやフェイスブックのように、ネットは強い絆をどんどん強くするメディアである。

弱い絆はノイズに満ちたものである。そのノイズこそチャンスだが、現実のネットは、そのようなノイズを排除するための技法をどんどん開発している。弱い絆を、偶然の出会いを見つける場所こそが、リアルである。身体の移動であり、旅である。

ネットにはノイズがない。だからリアルでノイズを入れる。弱いリアルがあって、はじめてネットの強さを活かせる。

ネットでは重要な情報は見えない

ネットには情報が溢れているという事になっているが、むしろ重要な情報は見えない。ネットでは自分が見たいと思っているものしか見る事ができないからである。そして、みな自分が書きたいと思うものしかネットに書かないからである。

ネットは記号でできている世界である。文字だけでなく、音声や映像が扱えるようになっても同じで、結局はネットは人間が作った記号だけでできている。ネットには、そこに誰かがアップロードしようと思ったもの以外は転がっていない。「表象不可能なもの(言葉にできないもの)」はそこに入らない。

重要なのは、言葉にならないものを言葉にしようとする努力である。言葉にならないものを、それでも言葉にしようと苦闘した時、その言葉は本来の意図とは少し異なる方法で伝わる事になる。その誤配を通しては言葉にならないものを知る事ができないが、そんな言葉にならないものが世界に存在する事実を知る事ができる。

検索ワードを探す旅とは、言葉にならないものを言葉にし、検索結果を豊かにする旅の事である。

偶然に身をさらせ

強い絆は計画性の世界である。だから計算高い、慎重な人は、強い絆をどんどん強める事を望む。今自分が置かれている環境の中で、統計的に考えて最適なパフォーマンスを出そうと努力する。

けれども、そもそも人生がいつまで続くのか保証はない。統計に基づいた計画に従い、リスクヘッジする事が本当に正しいのか。統計からわかる事は、もし何回も人生を生きる事ができるとしたら、確率的にその選択が最も利益が大きいという話でしかない。

他方で弱い絆は偶然性の世界である。人生は偶然でできている。統計的な最適とか考えないで偶然に身を曝すこと。ネットに依存していると、自分の似姿ばかりに囲まれて、弱い絆を掴む機会を失い、人生を豊かにする機会を失う。これに対抗するにはリアルで予想外の事をするほかない。