人手不足を克服するには人本経営しかない
今、人手不足に陥っている企業は、人を大切にする事に親和性を持った平成世代の若者たちに去られている。平成世代は、いい雰囲気のある職場で働き、より自分が役に立てる環境を強く望む。時給の多寡はそれほどインセンティブにならない。人手不足状態を克服するためには、じっくりと腰を据えて「幸せ軸」の人本経営に舵を切る事以外にない。
人口は毎年毎年減っている。人手不足を克服していくためには、新たに人を採用する事よりも、今いる社員に離職されない職場をつくる事を優先して経営改革していく事が求められる。人を大切にする経営は、決して無理な成長を追わない。安定成長、年輪経営である。だから多少採用予定人員に達していなくても、人が辞めなければ人手不足で経営が困難になる事はない。
いい会社になって業績を出すために必要なこと
人本経営が実現できるかどうかはリーダーの本気度で80%決まると言っていい。経営者が「業績軸」だからと諦めるのではなく、自部署で「幸せ軸」の職場づくりを図ること。目先の売上にこだわらない決意を固め、恐れずに実践していく事である。
利益は健全経営をした結果であって追うべきものではない、というのが人本経営の理想の姿である。それを実現するために、まずは利益が出る方向へ経営の舵を切る必要がある。
いい会社になる事を目指していても、業績という結果につなげられない企業はどこに違いがあるのか。いい会社の特長には次の4つが挙げられる。
①経営理念を明文化している
②離職率が低い
③経営理念の共有化、コミュニケーションの円滑化のために朝礼や夕礼に取り組んでいる
④社員のモチベーションを高めるために何でも言える組織風土づくりに取り組んでいる
これらを実践していても業績が出ない会社には、次の特徴が見られた。
・経営理念を明文化していても社員への浸透に関する取り組みを行っていない
・研究開発費がほとんどかけられていない
・教育投資に消極的
・新商品新サービスの開発が少ない
・決裁権限があいまい
・障害者雇用に消極的
・残業時間が極端に長い
売上高経常利益率5%以上の会社には、研究開発費が売上高の2%程度、教育費は1人当たり年間3万円程度計上している会社が多い。
社員を第一に考える
人を大切にする会社を目指すためには社員第一主義である事が求められる。「わが社は社員第一主義です」と宣言できるかどうかが、幸せ軸の経営に向かおうとする多くの経営者がまず超えるべきハードルである。もちろん、社員第一だからといって、お客様をないがしろにしていいわけではない。しかしお客様を幸せにするためには、社員が心から幸せ感をもって仕事をしている事が必須である。