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業界の常識をアップデートせよ

中堅の豆腐メーカーはいかにして業界No1となったのか。成熟した業界にあって、常識を打ち破る手法で、急成長する相模屋食料の経営哲学が書かれた本です。


■今、目の前にあるものは今だけのものに過ぎない
カメラがフィルムからデジタルになったように、商品には「変化の一瞬」がある。そして一般的に、この変化をつくりだした企業は業績を伸ばし、そうでない企業は思わぬ速さで苦境に陥ってしまう。

「今、目の前にあるものが永遠に続く」という世界観の中にこもって生きるか、「今、目の前にあるものは今だけのものに過ぎない」と考えながら生きるかによって、企業の未来は変わってしまう。しかも、時代は一気に変わる。

相模屋食料は6年間で売上高約4倍という成長を達成した。その秘密は、業界では不可能とされていた「職人さんたちがつくったこだわりのお豆腐をつくること」と「それを安定供給すること」とを両立させる仕組みを構築した事にある。

超短要約

■ザクとうふはいかにして生まれたか
まず、お豆腐にするなら主人公の「ガンダム」でなく量産型「ザク」がいいと思った。「ガンダム」は作中でただ一機の存在。これをかたどったお豆腐を大量に並べたら、ファン心理としては違和感がある。しかし量産型の「ザク」は数が揃うと、強さを発揮する機体だから、たくさんあるほどカッコいい。

30〜40代の男性に買ってもらうなら、中身はどんなお豆腐がいいか。お客様が何を欲しているかのデータを頭から引っ張り出していくと、ビールのおつまみ、ナンバーワン、ツーはいつも「枝豆」と「冷や奴」である。そして、ザクはたまたま緑色。それなら、枝豆風味のお豆腐を作ればいい。

いつもお豆腐に関する妄想を繰り広げていると、次々とアイデアが浮かんでくる。「思いつき」とは、きっと今まで考え続けてきたものがある刺激を受けて具体化するものである。


お酒の席やビジネスのついでの雑談で「ザクとうふ」の構想を話し続けた。すると、小売店が興味を持ってくれ、いいものができさえすれば、売場は確保できる事がわかった。

ビジネスは常道ばかりでも、うまくいかないのは事実である。普段は、仮にお豆腐の製造機械を改良するなら、どれだけ投資すれば、いくら原価を圧縮でき、どれくらいで投資を回収できるか、というシュミレーションは欠かせない。これが正規戦である。しかし「ザクとうふ」に関しては「費用対効果」を考えていたら絶対に実現しない。でも、作ってみたい。これがゲリラ戦である。

正規戦なら、市場調査などを論拠に人を動かせる。一方「ゲリラ戦」は妄想や個人の思いをベースに人を巻き込んでいくしかない。「わけのわからないこと」をやろうとする時は、心の底がウズウズする感覚を共有してくれる仲間を集める方が近道である。

但し、世の中になかった商品を出すのは簡単な事ではない。「ザクとうふ」の容器は複雑なため、既存の生産機械を改造しなくてはならない。また、形が複雑で、お豆腐がパックから抜けない難しさがあった。そこから1つ1つ、解決策を提案していった。

著者 鳥越 淳司

1973年生まれ。相模屋食料 代表取締役社長 大学卒業後、雪印乳業(後の雪印メグミルク)に入社。その後、妻の実家である相模屋食料に入社し社長を務めた。同社を大きく成長させ、木綿豆腐、絹ごし豆腐で生産量日本一を達成。そのほか『ザクとうふ』などのヒット商品を手がけた。

この本を推薦しているメディア・人物

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土井 英司
日経トップリーダー 日経トップリーダー

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
まえがき p.3 2分
第1章 ビジネスではゲリラ戦を―「ザク」と「とうふ」とのコラボレーション p.17 15分
第2章 お詫びする毎日、その中で掴んだもの―ビジネスで本当に誇れるものとは何か p.45 8分
第3章 難しいからこそ勝機あり―新しい「器」、新しい「常識」をつくる p.59 15分
第4章 なぜ、日本最大級の製造工場を稼働させたのか―業界一位への最大の布石 p.87 17分
第5章 恥ずかしい、情けない―改善項目一〇〇〇個以上、工場稼働に黄信号 p.119 11分
第6章 なぜ、業界一位を目指したのか―「六年間で売上四倍」の真実 p.139 11分
第7章 改善と買収―伸びているときこそ、内部、外部の改革を進めよ p.159 17分
第8章 商品開発の極意―迷わず一球目から振る p.191 18分
あとがき p.225 5分

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