アンコントロールを受け入れよ
「マス広告」依存、「ポスト広告」時代に適応したマーケティング活動に取り組むにあたっては、事前にすべてを計画通りにコントロールできないし、すべきものではないと理解する事である。
もし、事前にコントロール可能な領域ばかりに留まり続けるならば、もはや有効性が低下したマス広告か、クリック単価が高止まりする検索エンジン出稿(SEM)くらいしかとり得る打ち手がない。
なぜ、人は「動く」のか?
従来のやり方で人を動かそうとするのは限界である。人を動かすルールは変わった。これまでのように広告やメディアだけで、たくさんの人を動かそうとするのはあきらめなさい。
では、新しい時代に人を動かすには何が大事になるのか。「人を動かす」にあたって、1000人から10億人までを追いかけていくと、人が動く構造は複雑化していく。
①1000人
・ピュアな理想に裏打ちされている
・少ない参画者で大きな事を成し遂げるというレバレッジが効いている
・達成すべきミッションがシンプルでわかりやすい
②1万人
・人間の根源的な欲求や本能に訴えかける
・コミュニティ形成を構造化する
・全体としての連帯感を醸し出す
③10万人
・「自分ではない誰か」がつくるストーリーがある
・共犯意識を高める事が行動を促す
・(人が動いた)具体的な数字を発表する
④100万人
・魅力的なラベリングを発明する
・「世間体」が出現する
・承認欲求を満たす
⑤1000万人
・メディアを介さない「目撃体験」が始まる
・シンボル性の高い「アイコン」が登場する
・世の中にすでにあるものを再定義する
⑥1億人
・人が動く「複数の要素」が必要となる
・新たな習慣を生み出す
・ライフスタイルや価値観の違いに対応する
人を動かす3要素
人数の規模にかかわらず、これらは最終的に「3つの要素」にまとめる事ができる。
①心=人の気持ち、感情、本音(インサイト)
②技=メディアやコンテンツの戦略と戦術
③体=体験、体感
この構造が「入れ子」のような構造になっている。ある規模の人が動く場合、その中にはより規模(人数)の小さい層の動きが内包されている。例えば、100万人を動かそうとする時に、まず1万人を動かす事から始める。一般的に「ヒット」や「ブーム」と言われるものも、表面的には一気に人が動いたようにも見えるが、案外その本質は「入れ子構造」そのものだったりする。
意図的に人を動かしたい時に「技」の要素は不可欠だが、技(メディアやコンテンツ)だけで人を動かそうという発想には無理があるのはこのためだ。重要なのは、この構造を理解し、常にイメージすること。その上で「技」のかけどころを探る事だ。