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2014/09/18更新

データの見えざる手: ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則

228分

10P

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時間の使い方は法則により制限されている

人は様々な行動を自分の意思で選択し、1日の中で組み合わせたら、その選択の仕方により、動きの統計分布は異なるはずだ。しかし、違う仕事を持ち、性別も年齢も異なる人達のすべてが、U分布に従って24時間、行動している。

我々は、1日の活動時間約900分を生きる中で、約7万回の腕の動きを、各1分1分に配分している。もし、我々の各時点での行動の種類がランダムに決まるとしたら、その配分は正規分布に従う。しかし、腕の動きは1日約7万回と総数がおおよそ制約されている中で、我々は腕の動きを優先度に合わせて調整している。例えば、午前は活動量を抑えて、午後の顧客への提案に全力投球する事がこれにあたる。

腕の動きという有限の資源を、優先度の低い時間には温存し、優先度の高い時間に割当てる。これを無意識の内に、もっと細かな行動の調整を無数に行っている。その証がU分布なのだ。

宇宙のあらゆる変化は、エネルギーのやりとりで起きている。「意思」や「好み」を持つ人間の行動も例外ではない。人間の行動が資源のやりとりの法則に支配を受けるとなると、時間の使い方に厳しい制約をもたらす。U分布は、一方向に右肩下がりなので、身体の動きが活発な行動を、静かな行動よりも長時間行う事は許さない。U分布では、より素早い行動の時間は、より静かでゆったりとした行動よりも常に少ない時間しか許されない。

つまり、我々が1日のToDoとその各項目の時間配分を、自分の自由になると思っているのは全くの幻想である事もわかる。1日の総活動量が決まると、ある帯域の動きを伴う活動に割当てる事のできる活動予算も決まり、それを超えたバランスの時間は使えないのである。活動予算を使い尽くすと、それ以上その活動ができなくなる、あるいはやりたくなくなると推測される。それでも無理してやろうとすると、結局寝てしまったり、集中できなかったりしているのではないか。予算がない中で、無理をしてその活動を続けるというのが「ストレス」の大きな要因なのかもしれない。

人の活動がU分布に従い、身体の動きという有限の資源の制約を受けるというのは、我々の活動が自然法則の見えざる手の支配下で行われているという事だ。

もし自由意思で本人が自分の活動を選択できるならば、活動効率は100%まで向上できる。しかし、人間の活動が熱力学に従うとすれば、この活動効率はある上限に制約される。