人は周囲に同調するものだ
「ソーシャル・プルーフ」とは、人がやっている事だからという事で、他人に思わず同調してしまうという事だ。レストランの行列が一番わかりやすい。「行列の店の方が美味しいに違いない、自分も並ぼう」と思うだろう。人間は本能的に他の人がやっている行動は正しいはずだと思い込んでしまう。
人は群れる事が好きだ。そして、自分と共通点がある集団に魅力を感じる。人は周囲に流されるという性質をうまく活用するには、良い共通点を掲げる事が大事だ。また、人が真似したいと思うような効果的な集団を考える事が重要だ。
感情は役に立つ時も立たない時もある
感情は、私達が思うよりも深く、人間の行動をコントロールしている。感情は合理的な思考システムを乗っ取ってしまうのが特徴だ。
感情は進化の観点からいうと、実は「何も考えないこと」だ。例えば、ジャングルで虎と鉢合わせした場面で、人は頭の中で損得勘定をして、コストや利益を考えてからじっくり判断すべきか。とにかく何も考えずに逃げるのが先だ。それが感情の果たす役割だ。
感情は自然に発生しては消えていくもので、長くは続かず、周囲の環境によって引き起こされる。多少は制御できたとしても、予測するのは難しい。感情が現れる事は事前にはわからない。感情は実用的な観点からすれば本来役に立つものだ。何かが起きた時に、すぐさま必要な行動に導いてくれる。だが問題は、感情が本来の働きをする世界、例えばジャングルのような場所には、私達はもはや住んでいないという事だ。大切なのは、どういう場合に自分の感情が良い行動に結びつくのかを知っておく事だ。
自分をコントロールする方法
アメリカの調査に、賢い選択をしなかった事が結果的に死につながった人の割合を分析したものがある。やるべきではない事をして、それが原因で死に至った人が、100年前と現在でそれぞれどのくらいいるかを推計した。100年前は約10%だった。一方、現在は40%以上になる。何が変わったのか。死をもたらしうるテクノロジーが生まれたのだ。喫煙や肥満、糖尿病、運転中のメール。
誘惑は社会の大問題で、今後ますます大きくなる一方だろう。人間の判断は、自分が置かれた環境の産物である。だからこそ、私達は誘惑と戦う方法をどうやって編み出すかが重要になる。代替報酬や、自分の手足を事前に縛る方法もある。どんな時にも頼りになる普遍的な戦略の1つはテクノロジーである。目覚まし時計のようなものや、様々なアプリもある。行動を改善する術はある。