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2014/08/06更新

なぜ、それを買ってしまうのか (祥伝社新書)

139分

2P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

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情報は少ない方がいい

これまで、選択肢は多い方がいいと語られてきた。情報過多となった現在でも、情報は少ないよりは多い方がいいと思われがちだ。多ければ必要な情報も含まれる可能性が高まり、不要な情報を取り除く事の方が簡単だと思うからである。しかし、商品のコストパフォーマンスが良くても、その商品を買うために行った労力を考えると費用対効果はあまり良さそうに見えない。私達はできるだけ多くの情報を集めて、よく吟味しようとするが、複雑に考えるほど、過去の事実の焼き直しになってしまい、不確実な環境に対応できない。これに対応するには、直感を使って、将来を予測するのに重要な情報を絞り込み、その情報だけで判断する。情報は少ないに越した事はない。

買い物で失敗しないためには、すでに評価の定まっている「ブランド物」を選ぶのも1つの方法である。迷ったら「多数派にならえ」である。もし、価格の高さを気にするなら、よく知られたブランドの2番手を選ぶ方法もある。

消費者にとって、一度買っていいなと思ったブランドを覚えておくと、次に買う時そのブランドを見つけるだけで済むので、短時間で買い物ができて便利である。ブランドが品質を保証してくれるからである。さらに、買い続けていれば、体験を通じてブランドとの絆が深まる。そこに個人的な自分だけの意味を見出す。

「なじみがある」と思ってもらう事は、ブランドにとって重要な事である。人は既知を好む。たとえ錯覚であっても「なじみ感」は過去に由来する。人が既知を好むのは、全く知らないよりも認知しやすいからである。

選択肢は少ない方がいい

店選びに重要なキーワードには「近い」に加え「品揃え」と「選択」を挙げる事ができる。しかし、店選びで「品揃え」と「選択」を重視するお客さんが多いからといって、品揃えや選択肢をただ増やしても売上につながらないばかりか、管理コストがかさんで利益を損なう事は、経験則的に小売業界ではよく知られている。

「品揃えが豊富」だと感じると「選べる楽しさ」があり、「品揃えがいい」と「選びやすい」と感じたりするのは、主観によるものである。そうお客さんに感じてもらえるように、品揃えをアレンジするのが小売業の役割である。

ところが、選べるのは楽しい事だが、実際に選ぶのは難しい事である。選ぶ事にはリスクが伴い、リスクを回避したければ、よく吟味して慎重に選ばなければならない。でもいつも慎重に選んでいては疲れるばかりか、買い物を楽しむ事ができなくなる。

私達は、選択肢の多い事を歓迎するが、実際に多くの選択肢から選ぶとなると音を上げてしまう。人間が一度に正確に処理できる情報量は「7±2」だとされる。情報量がそれ以上になると、記憶が曖昧になったり、間違えやすくなったりする。