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2014/07/15更新

「自分」の壁 (新潮新書)

147分

2P

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「本当の自分」なんで探す必要はない

世間に押しつぶされそうになってもつぶれないものが「個性」である。結局、誰しも世間と折り合えない部分は出てくる。それで折り合えないところについては、喧嘩すればいい。それで世間が勝つか、自分が勝つかはわからない。でも、それでも残った自分が「本当の自分」のはずである。「本当の自分」は、徹底的に争った後にも残る。むしろ、そういう過程を経ないと見えて来ないという面がある。

日本の伝統芸能の世界は、その事をよく示している。入門した弟子は、まず徹底的に師匠の真似をさせられる。「とにかく同じようにやれ」という過程が10年、20年と続く。そんな風にしても、師匠のクローンをつくる事はできない。どこかがどうしても違ってくる。その違いこそが、師匠の個性であり、弟子の個性である。徹底的に真似をする事から個性は生まれる。

問題は、それぞれの人が個性を発揮するには、世間の方がきちんとしていなければならないという点である。伝統芸能の例で言えば、師匠が基礎をきちんと学んで、その道をきちんと歩んでいるからこそ、徹底して真似る甲斐がある。ところが、今は世間の方がきちんとしていない。それなのに、なおかつ人々に「個性を発揮せよ」と言っている状態である。

本来、人生はどうやって生きていけばいいか、といった事についての世間の基準、ものさしがあるべきなのに、それが揺らいでしまっている。そのくせ「個性を持て」だから、若い人が訳もわからず「自分探し」をしたがるというのが現状である。

実際には「本当の自分」なんて探す必要はない。「本当の自分」がどこかに行ってしまっているとして、じゃあ、それを探している自分は誰なんだという話である。

自信は「自分」で育てる

目の前に問題が発生し、何らかの壁に当たってしまった時に、そこから逃げてしまう方が、効率的に思えるかもしれない。実際に、その時の事だけを考えれば、その方が「得」のようにも見える。ところが、そうやって回避しても、結局はまたその手の問題にぶつかって、立ち往生してしまうものである。

社会で起こっている問題から逃げると、同じような問題にぶつかった時に対処できない。「こういう時は、こうすればいい」という常識が身に付かない。その時に逃げる癖がついた人は、上手に対処できない。だから結局は、逃げ切れない。

自分がどこまでできるか、できないかについて迷いが生じるのは当然である。運に左右されるところもあるし、賭けになってしまう部分もある。何かにぶつかり、迷い、挑戦し、失敗し、という事を繰り返す事になる。しかし、そうやって自分で育ててきた感覚の事を「自信」という。