消費者は「感動」を消費する
1980年頃を境に、多くの製品において供給が需要を上回り、モノ余りの時代に入った。モノがなかった時代は「便利さ」や「快適さ」といった豊かさを追い求めてきた。しかし、モノ余りの時代になると、モノから心の欲求に変わる。そうした中で、感動そのものを求め消費するようになった。但し、感動への欲求がどんなに旺盛でも、多くの人がそれを満喫するために費やせる時間は限られている。だからこそ、「満足」といったレベルではなく、「感動」レベルの商品・サービスが必要なのである。
人が感動する時
「人が感動する時はどんな時か」は以下のように整理される。
①お客様が大切にされている実感
「私はお客として大切にされている」というのが、感動を与えるサービスの大前提である。
②ニーズへの最適化
「顧客の顔・名前・好みの記憶力」「顧客情報・ニーズ把握による適切な対応」「きめ細かな気配りのあるサービス」などにより、お客様のニーズへのサービス最適化が感動を呼び起こす。
③価値の優位性
「本物・本質を追求した商品・サービス」「他にない商品・サービス」「予想外の製品・サービス」などの総合的魅力度が感動を呼ぶ。
④不測の事態への対応
不測の事態の場面で、お客様の問題解決に貢献する事ができれば、大きな感動を呼ぶ。
感動の商品サービス文化がつくられるプロセス
①お客様の重要感の充足
②お客様のニーズの充足
③精神的交流(お客様と企業の経営者・社員との人間的関わり)
④お客様の意識・行動の変容(企業に対する好意的反応)
⑤社員の働きがいの実感
⑥より多くの企業・地域・社会全体への拡がり(クチコミなどによる浸透)
⑦感動の商品サービスを創出する企業文化の醸成
感動を生み出す企業のつくり方
感動の商品やサービス形成のためには、次のような努力が企業に求められる。
①社員の心の教育
「お客様を感動させる」といったレベルになると、心の教育が不可欠である。
②お客様満足度調査の活用
お客様の声を定期的に聴く事は重要である。
③お客様情報の充実と活用
お客様情報をしっかりと把握して管理メンテナンスする事は、感動レベルのサービスを提供する上での効果がある。
④感動エピソードのフィードバックによる学習
お客様からのお褒めの言葉や感動のエピソードを積極的に社員にフィードバックする事が重要である。
ここで最も重要な事は、社員を徹底的に大切にする事である。なぜなら、「自分が大切にされていない」と普段感じている社員は、その企業のお客様を「大切にしたい」と考えない。感動の商品サービスを生み出すのは「仕事に幸せを感じて、自発的に取り組む社員そのもの」である。