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2014/06/30更新

成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?

  • 上阪 徹
  • 発刊:2014年6月
  • 総ページ数:230P

147分

3P

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顧客が求めるものを追求する

成城石井という店は、成城のお客様に育てられた。成城は、都内屈指の高級住宅地である。そこで商売するとは、目の肥えた方々の視線に、常にさらされ続けたという事である。高くていいものは当たり前で、それをいかにお値打ちで出せるかが問われた。

象徴的な例がワインだ。ワインは成城石井の人気商品の1つだが、そのこだわりは徹底している。完全常温、定湿管理の倉庫を建造し、飲み頃の状態のものが店頭に送られる。

ワインと並び人気商品になっている輸入チーズの取扱いは1980年代のこと。チーズは鮮度も重要で、飛行機で直輸入される。自社で貿易会社を作り、マージンをカットする事で、リーズナブルな価格でワインやチーズの輸入を可能にした。本当においしいもの、こだわったものをとことん突き詰めよう、というところから、成城石井は品揃えを考えた。儲けようという発想ではなかった。こうした考え方は、輸入品に限らず、肉、魚、野菜の生鮮三品も同じである。

成城石井の商品は値段が高いといわれる事がある。ただ、ストーリーをきちんと伝えて、そこまでこだわっている生産者がいて、その気持ちを理解してこだわって売ると、本当に高いだろうか。成城石井のお客様はそれを理解してくれている。

面倒なことをやる

成城石井が顧客から高い支持を得ている理由の1つが、接客をはじめとしたサービスへのこだわりとレベルの高さである。

成城石井が目指しているのは、会話ができるスーパーである。店内には従業員が大勢いて、どんどん顧客と会話をする。会話をすれば、求められているものが見えてくる。従業員の中には、顧客の顔と名前を覚えているだけでなく、顧客の好みを把握している人も少なくない。こうした接客の姿勢は、早い時期から作られていたが、ここでも成城に暮らす顧客の影響は大きかった。

スーパーで顧客が大きな不満を抱えるものの1つが、レジの行列。成城石井では、そもそもレジの人員が多い。混雑時間帯には、その人員を一気に増やす。レジは、その日のスーパーの最後のイメージを形作る場所になるのだ。

接客サービスを重視している成城石井だが、サービスマニュアルはない。役割ごと、お店ごとに、求められるものが全く違うからだ。運営はマニュアルがあった方が楽である。だが、成城石井はあえてそれをしない。いつも顧客の視点が先なのである。サービスもサービスそのものが目的ではない。あくまで顧客の期待にどう応えるかなのである。