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2014/07/16更新

できる人はダラダラ上手: アイデアを生む脳のオートパイロット機能

131分

1P

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デフォルトモードネットワーク

安静時にも脳が活動している事実がわかったのは最近の事である。神経科学と心理学の分野では、つい最近まで脳の自発的活動はノイズだと考えられてきた。しかし、このノイズが私達の「心」を理解するカギになるかもしれない事がわかってきた。

脳が消費するエネルギーの90%は、継続活動に使われると考えている。言い換えれば、脳に送られるエネルギーの大半は、安静時の脳活動、つまり内因性活動によって消費されている。

脳が安静状態に入ると、デフォルトモードネットワークが活発化して同期する。デフォルトモードネットワークの素晴らしいところは、私達が何もしないでいる時に活動が盛んになる事である。デフォルトモードネットワークが活性化すると、ネットワーク内の血流が増加して、より多くの酸素が運ばれる。ブドウ糖の消費が増え、代謝活動が盛んになる。そして、各領域の活動が連携しはじめる。

休息が記憶を固定する

脳の前頭前皮質は理論、短期記憶、感情の抑制、行動の計画、関連する情報を思い出すといった「高次」認知機能に関わっている。海馬と呼ばれ安静時に活発化する器官は長期記憶を作り、新皮質と呼ばれる別の器官にそれを保持する。新皮質に保存された記憶や情報は、前頭前皮質が必要だと判断した時に思い出される。

夜ぐっすり眠るとか、しばらく休息するとか、昼寝をするとかいった事をすると、海馬がこうした新しい記憶を新皮質に書き込む。新しいアイデアやスキルを学ぶ時は、記憶の固定が重要である。新しい情報を学んだ後は、昼寝をするか、少なくとも休息をとるのが一番いい。

こうした事が可能になるのは、前頭前皮質、海馬、新皮質の一部が情報を交換しているからである。神経細胞と脳の各領域が情報を受け渡しする方法の1つが、電気的な波動の同期である。

安静時にひらめきは生まれる

脳のオートパイロット機能とも言われるデフォルトモードネットワークは、脳の後方、中央、前方中央、頭頂の外側に出現する。領域的には、内側前頭皮質、前帯状皮質、楔前部、海馬、側頭葉、頭頂葉である。こうした領域がデフォルトモードネットワークを形成し、ハブの役割を果たす。つまり、私達が怠惰でいる時、脳内で広範囲にわたるネットワークが形成され、各領域が情報のやり取りを始める。

デフォルトモードネットワークは自己認識、自伝的記憶、社会的情動の処理、創造力に関与している。その各ノードは、私達が自分自身について考え、過去を振り返り、内省する事にも関わっている。また意識の形成にも複雑に関連している。

通常は、やるべき事に追われて忙しすぎるために交信できない領域も、脳が安静状態にある時は、デフォルトモードネットワークと接続できるかもしれない。真に独創的な着想や知見が生まれるのはそうした瞬間である。