TEDでも人気のハーバード大学講師が、最新のポジティブ心理学を紹介しています。成功と幸福に至る鍵は、自身の「現実」をどのように捉えるかだと説きます。


■どんな現実を見るかで決まる
人によって世の中の見方が違う理由は、人間の脳がカメラのように外界をそのまま映し出すものではないからだ。脳は受け取った情報を絶えず解釈して処理している。人間の脳は毎秒1100万もの情報を環境から受け取っているが、処理できるのは毎秒40ビットに過ぎない。つまりインプットされたもののごくわずかな一部を選択して処理し、対応する必要がある。残りの大部分の情報は捨てるか無視される。従って私達の現実は「選択されたもの」である。何に注目するかによって、現実をどう認識して解釈するかが決定される。

この「現実」がすべての鍵である。どんな「現実」を見るかによって、障害の中に機会を見出したり、袋小路に見える状況で新しい道を見つけたり、失敗ではなく成功に続く道を見出したりする。自分がポジティブな変化を生み出せるという現実、つまり自分の行動が意味を持つのだという認識を作り出せれば、脳が持つ能力と知性を十分に引き出して、これまでにない成功と幸福を達成できる。成功は、どれだけの知性を持っているかによって決まるのではなく、知性を活かして使えると自分が思うかどうかで決まる。

「幸福感が成功につながる」というのは真実である。しかし、辛い状況や大きな障害に直面している人に「幸福を感じる事が可能だ」と思わせるものはそもそも何なのか。同じ状況で前向きに進んでいる人がいる一方で、希望を失ってしまう人がいる理由は、彼らが「異なる現実」を生きているからである。客観的事実をどのように捉えるかは、本人が選ぶ事ができる。幸福と成功の前に来るものは「自分の世界をどう認識するか」である。幸福になって成功を手にするためには、それらを可能だと思わせるポジティブな認識が必要である。

ポジティブな現実を常に作り出せる能力を「ポジティブ才能」のレベルを上げるスキルは次の5つである。

①最も価値ある現実を選択する
いくつもの現実が存在する事を理解し、その中からポジティブな成長につながるものを選び出す。

②メンタルマップを作る
成功への道筋を描く。

③一番力が出るスポットを見つける。
成功促進要素を利用する。

④ノイズを消去する。
ネガティブなノイズを消去して、ポジティブなシグナルを大きくする。

⑤ポジティブな視点の「植えつけ」
ポジティブな現実を他の人にも広める。

著者 ショーン・エイカー

グッドタンク代表 ポジティブ心理学の第一人者 ハーバード大学で学生の評価が最も高いポジティブ心理学講座をタル・ベンシャハー博士のもとで担当し人気講師となる。 コンサルティング会社グッドタンクを立ち上げ、グーグル、マイクロソフト、ファイザー、UBS、KPMGなどの著名企業で 成功と幸福の関係についての実証研究を行いながら、世界45カ国で講演やレクチャーを行っている。