ピボット
その頃、エブと出会ったノア・グラスは、携帯電話でブログに音声を投稿できるオーディオブログの起業資金をエブに出させた。誰でもポッドキャスティングをやって共用できるサービスを開発するオデオは創業した。しかし、オデオは財務状況が悪化し始めた。エブは投資を増やす条件として、エブがCEOになる事を提案した。
エブとノアはことごとく意見が合わなかった。ロゴの色、集中すべきプロダクト。だれが指揮をとるか。銀行に資金がどっさりあり、新たにエンジニアを雇い入れ、ポッドキャスティング関連の様々な方向性を模索できたにも関わらず、ノアとエブは何1つ合意できなかった。さらに深刻だったのは、アップルがiTunesにポッドキャストを追加すると告げた事だった。オデオがiTunesを持つアップルに太刀打ちできる訳がない。エブは会社をたたむ事をノアに相談していたが、ノアは社員からアイデアを汲み上げて、なんとか会社を救おうとした。
その頃、オデオに雇われていたジャック・ドーシーは、ブロガーと競合するライブジャーナルというブログ・サービスを使っていた。その特徴は、今何をやっているかを、現況メッセージとして、ブログに書き込める事だった。ジャックは、その機能を自分のウェブサイトに移せないかと思った。現在の状況を人々が共有できるサイトの構想を口にした。このステータス(現況)は、その場にいない人々を結び付けるのに役立つ。そして、人々を結び付け、孤独感を癒すのだ。
ツイッターの誕生
ジャックの元々の構想では、1人のステータスメッセージが一度に1つしか見られないようにする予定だった。しかし、エブは、ブログと同じように、ステータスのアップデートは、時系列がわかるストリームフォーマットでなければならないと提案した。ノアは、タイムスタンプをつける事やツイッターという名称を思いつき、人々を「結びつける」事で、ステータスに人間性を与えられると表現した。
ツイッターはその頃はまだ生まれたばかりだったが、誰が育て、誰が他人にいじらせたかという事で、すでに小競り合いが起きていた。エブは、ノアの激しい言動やメディアに勝手に発表した事に頭を悩ませていた。エブはノアに最終条件を告げ、ノアは辞めた。
共同創業者の対立
ツイッターは、ITカンファレンスのサウスバイ・サウス・ウェストでの優勝により、かなりのスピードで成長し続けた。ノアが追い出された後、ジャックがCEOとなった。しかし、エブとジャックは、ツイッターとは何であるか、どういう風に使うべきか根本的に意見が違っていた。ジャックは自分がどこで何をやっているかを話す手段、エブは周囲で起きている事を伝える手段だと考えていた。エブとジャックの意見は対立し、ツイッターの経営は混乱を極めていく。