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2014/06/12更新

全員で稼ぐ組織 JALを再生させた「アメーバ経営」の教科書

180分

5P

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部門ごとの利益を見える化する

どの企業でも、売上拡大と経費節減は追求している。しかし、採算を細かく見られる仕組みにはなっていない。アメーバ経営を導入すると、製造部門でも利益が見えるようになる。各部門の採算を明確にするために「社内売買」という独特の仕組みを用いる。社内売買とは、各アメーバを1つの会社のように位置づけ、アメーバ間で製品などが動くときは、社内売買があったとみなす仕組みの事である。アメーバの総生産高は、社内の別のアメーバに販売する「社内売」と、社外に販売する「社外出荷」の合計から、「社内買」を引いたものとなる。

アメーバ経営における経営指標は以下の通りとなる。

・営業部門
販売手数料 − 経費    = 差引収益
差引収益  ÷ 総労働時間 = 時間当り付加価値

・製造部門
総生産高  − 経費    = 差引収益
差引収益  ÷ 総労働時間 = 時間当り付加価値

アメーバ経営では、人件費を経費に含まない。その代わり、差引収益を総時間で割って算出する「時間当り付加価値」という指標を用いて利益の状況をつかむ。

利益責任を負う部門を明確にし、その利益を社員全員で協力して増やしていく。これがアメーバ経営の目的である。

人間力を高めるための教育を行う

同じような製品を作っても、儲かる会社と儲からない会社がある。その差は、明らかに人間の差である。アメーバ経営でも、長期的に見るとリーダーの差が顕著に表れる。結束力の強いチームと、リーダーの言う事を全く聞かないチームとの業績の差は歴然としている。そこでアメーバ経営を導入する際には、人としてどうあるべきか、他人からついていきたいと思われるような人間になるにはどうしたらいいのかという事に関して、リーダー教育を含めた理念(フィロソフィ)教育を重点的に行う。経営者と社員の人間力を磨いて、そこにおいては他社に絶対負けない状態をつくり出す事が、企業の競争力を高め、長期的に安定経営を続けていく事に直結する。

フィロソフィとアメーバ経営は車の両輪であり、一体となって機能する。京セラフィロソフィの代表的な項目に「人生の方程式」がある。これは「人生・仕事の結果」は「考え方×熱意×能力」という計算式で表される。この方程式から言える事は、考え方が一番大事で、能力が高くなくても、考え方次第で、結果を残す事ができるという事である。京セラフィロソフィの例には以下のものがある。

・心をベースとして経営する
・利他の心を判断基準にする
・人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力