シリコンバレーではどのような働き方がされているのか。そこで働く様々な日本人の取材事例をもとに、シリコンバレーで働くとはどういうことかを紹介している1冊です。
■フラット化された世界
インターネットやスマートフォンや様々なコンピュータ技術が、私達の働き方に革命的な変化を与え続けている。今や「どこにいても、たった1人で世界とつながれる時代」である。仕事のグローバル化がどんどん加速し、世界はより「フラット」なものに変わった。「従来通りの働き方」は、フラット化された世界の中では、決して「スタンダードな働き方」とは言えなくなる。
「フラット化されたビジネス環境」の最先端をいくのが、アメリカのシリコンバレーである。シリコンバレーのビジネスのシステムは、従来の日本のような「会社や組織が中心」のものとは大きくかけ離れている。組織よりも、個人の資質でビジネスのすべてが決まる。
しかし「新しい働き方」を実践するには、ちょっとした「きっかけ」と、現状=カンフォートゾーン(居心地の良い場所)を抜け出してみようという、ほんの少しの勇気があればいい。
■シリコンバレーの生態系
アメリカは「違う人たち」が集まってできている国である。ルーツも、肌の色も、言葉さえも違う。違う人の集まりの中で、お互いの衝突を避けるためにはどうすればいいのか。その答えは、あえて「違いを否定しない」「違いを認める」という事である。「シリコンバレーでは、どこの国の出身かは関係ない」というのも、「そもそもみんな違って当たり前」という前提がある。
アメリカの資本主義においては、クビを切られるのも簡単、勤めている会社が倒産するのも簡単といえる。そこでそういったリスクを回避するために、分業、共存という考え方になる。自分と違う事をやっている人たちと多くつながっていれば、何かあった時でも、自分の専門分野を役立ててくれる人がいるだろうという訳である。
シリコンバレーの生態系は、得意分野を持つ企業や専門家の集まりというだけではなく、そこに働く一人ひとりが「ヨコ」につながってできている。「ヨコ社会」は、組織の垣根を排し、フラット化させる事によって、「組織よりも個人」に重きを置くというものである。
ヨコ社会の一員になるためには、「人脈づくり」に励む事である。ヨコ社会の場合は、「同じレベル」の人たちがつながる事が基本である。共通する学歴や資格、職種などでつながり、タテではなく、ヨコの関係でお互いを助け合う。そして、自分自身のレベルも引き上げないと、高いレベルでつながれない。
シリコンバレーでは「ネットワーキング」と呼ばれる異業種交流会のようなものが盛んに開催されており、そこにせっせと足を運ぶ事が、ヨコ社会へ入り込むための1つの「手段」となっている。
著者 天野 雅晴
1956年生まれ。Global Vision Technology, Inc. CEO 1979 年、群馬大学工学部卒業と同時に渡米。カリフォルニア州立大学サンディエゴ校電子工学科修士号取得後、シーメンス関連企業での約7 年の勤務を経て独立。 1990 年、Global Vision Technology を米国に設立。シリコンバレーを拠点に、日米技術の架け橋としてのコンサルティング業務やベンチャーキャピタル業務を行う。 2003 年に日本法人を設立。「日本人技術者を世界で活躍させる」事業をスタート。バイリンガル技術者を育成し、日本の外資系企業や在米日系企業などにエンジニアリングサービスを提供。サービス実績として、ボーイング、IBM、北米トヨタその他の大手在米日系企業で多数のプロジェクトがある。 2011 年、Global Vision Ventures を米国に設立。シリコンバレーとニューヨークを拠点に日米事業開発に取り組むとともに、実習研修のコーチングを通してグローバル人材を育成する事業を開始。現在、日米150 人体制で、シリコンバレー、ニューヨーク、デトロイト、オハイオ、東京、名古屋に拠点を構え、日本企業のための各種グローバル化支援事業に取り組んでいる。
帯 レバレッジコンサルティング代表取締役 本田 直之 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.1 | 5分 | |
CHAPTER 1「正解」のない時代 | p.17 | 22分 | |
CHAPTER 2 ベンチャーの聖地 | p.57 | 22分 | |
CHAPTER 3 自由な働き方に「リスク」はない? | p.97 | 28分 | |
CHAPTER 4 シリコンバレー就職計画 | p.149 | 21分 | |
CHAPTER 5 カンフォートゾーンの外へ! | p.187 | 10分 | |
おわりに | p.205 | 2分 |