フック・モデル
人間の行動を習慣付けさせるには「フック・モデル」という4つのプロセスを踏ませる。
①トリガー(きっかけ)
トリガーは持続的な行動の変化に必要となる仕組みを与えるものだ。トリガーには「内的トリガー」と「外的トリガー」の2種類がある。ユーザーの周りに刺激となる情報を配置して、次にとるべき行動を指示する事、これが外的トリガーである。次の4つの外的トリガーを用いると、ユーザーに望ましい行動を取らせる事ができる。
・有償トリガー(広告、SEOなど)
・名声トリガー(PR、メディア露出など)
・口コミトリガー
・自己トリガー(ユーザーが登録したアプリからの通知など)
ユーザーの記憶を利用して、次にとるべき行動を連想させる事、これが内的トリガーである。とりわけ退屈、孤独、失望、混乱や優柔不断などのネガティブな感情が力強い内的トリガーとなる。設計者が行うべきは、ユーザーの痒いところをかいてやるという事である。プロダクトの特徴に注目するのではなく、ユーザーの感情に寄り添い、特定の不満や苦悩を探り当てる事が第一歩となる。
②アクション(行動)
いかなる行動であっても、行動を起こす人間には「モチベーション」「能力」「トリガー」の3つが不可欠である。意図した通りに振る舞ってもらうには、はっきりとしたトリガーを用意し、アクションが行われやすくなるように準備した上で、動機付けを行う必要がある。あらゆるふるまいは、3つのコアモチベーションによって引き起こされる。
・喜びを追及し痛みを回避する
・希望を追及し恐怖を回避する
・社会的な容認を追及し否認を回避する
③予測不能なリワード(報酬)
物事の因果関係が想定できるパターンをはずれた時、私達は急にそれを意識するようになる。習慣化をうながすプロダクトは、次の予測不能な報酬を1つ以上利用している。
・トライブ(集団):他者とつながることで得られる社会的な報酬
・ハント(狩猟):物理的な報酬や情報
・セルフ(自己):専門的な技能や能力の習得、完成への意欲など本質的な報酬
④インベストメント(投資)
ある行動が習慣化するには、その行動がかなりの頻度で、かつ有益性が認識されながら行われなければならない。プロダクトへの投資を行ったユーザーだけが、そのプロダクトを使い続けるようになる。ユーザーが、プロダクトやサービスに時間や労力を費やせば費やすほど、そのプロダクトとサービスをより高く評価するようになる。
投資は、フック・サイクルを再度回すための次のトリガーを生み出し、ユーザーが同じ道をたどる可能性を高める。