おしゃれで格安のメガネで、メガネ業界を大きく変えた「JINS」の起業物語。
創業者である著者は、なぜ起業し、どのようにしてメガネ事業のチャンスを発見し、これまでどのようにして会社を経営してきたのかが書かれています。
■起業のきっかけ
起業を決めたのは、1985年の大晦日。前橋信用金庫に勤めており、その日支店長は営業スタッフに預金の訪問営業をかけてこいという号令を出した。大晦日というのに、地元の名士の家の戸を叩いた。するとこんな言葉をぶつけられた。「大晦日に金をせびりにくるなんて、お前は乞食か」 息が苦しくなるほど苦しかった。自分の仕事が、その仕事をしている自分自身が情けなく思えた。この時、前橋信用金庫を辞めようと心に決めた。
起業して自分が納得する仕事がしたい。当時、知人から転職の誘いも受けており、独立前提で転職し、1987年、個人で創業。1988年に有限会社ジェイアイエヌを設立した。
意気揚々と始めた会社では、雑貨の企画制作を手がけた。信用金庫ではヒット商品を企画していたので、製品企画には自信があったのだ。しかし、すぐに資金繰りに行き詰まった。何をつくっても売れない。在庫ばかりが積み上がり、現金が入ってこないので、次の商品の仕入れができない。1年も経たずに生活が苦しくなった。
メガネの製造小売業を始めようと考えた時、コンサルタントの他にも信用金庫時代の知り合いや取引先など、いろいろな人にこのアイデアについて聞いてみた。結果は軒並み「やめておいた方がいい」だった。
メガネ業界に詳しい人ほど、「5000円なんていう安物のメガネを買おうとする人はいない」と言った。
しかし、そもそも人と同じ事をしていたら、新しいものなんてつくれない。人と違う人間、異端者こそが、人の生活を変えるようなものをつくるのだ。
失敗はおそろしい。でも、失敗は決して悪いものではない。本気でチャレンジした失敗は必ず糧になる。机の上でリスク計算ばかりしていると、どうしても一歩は踏み出せなくなる。失敗した時に、取り返しがつかないように思えてくる。それに、本気でチャレンジして失敗した経験は、フルスイングして良いかどうかの直感を磨いてくれるものなのだ。
著者 田中仁
1963年生まれ。株式会社ジェイアイエヌ 代表取締役社長 高校卒業後の1981年、前橋信用金庫に入社。融資業務等を担当した後、1988年ジェイアイエヌを設立し服飾雑貨事業を開始。2001年 アイウエア事業「JINS」を開始し、2006年 大証ヘラクレス(現 JASDAQ)に上場。 2011年 『Ernst&Young ワールド・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2011』モナコ世界大会に日本代表として出場。2013年 東京証券取引所第一部に上場した。
マインドマップ的読書感想文 smooth |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.1 | 4分 | |
1章 セピア色と有頂天の起業 | p.14 | 12分 | |
2章 メガネとの出合い | p.38 | 15分 | |
3章 株価低迷、買収提案 | p.68 | 10分 | |
4章 起死回生 | p.88 | 12分 | |
5章 メガネの常識を打ち破る | p.112 | 16分 | |
6章 購入体験も変える | p.144 | 6分 | |
7章 ウェアラブルの先を行く | p.156 | 6分 | |
8章 世界に打って出る | p.168 | 8分 | |
おわりに | p.184 | 3分 |
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