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2014/05/29更新

だから日本はズレている (新潮新書 566)

156分

3P

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「就活カースト」からは逃れられない

よほど才能か野心がある若者なら自分でベンチャーでも立ち上げればいいのだろうが、結局多くの学生たちは企業に就職していく。そこで学生たちは、空気のようにこの社会を支配している「就活カースト」に気付く事になる。雇用の流動化が進まない日本において、学生たちはカースト上位の人気企業入社というプラチナチケットを目指して奔走する。

「人気企業」に入れるほとんど唯一のチャンスは、新卒採用の時だけだ。そして、転職時や独立する時も「人気企業」」に勤めていた方が有利だ。それこそが、これほど大学生の就活が騒がれ、人気企業ランキングが重要視される理由だ。日本で生きる限り、就活カーストの呪縛から逃れるのは難しい。

「新社会人」の悪口を言うな

新入社員向けのメッセージというのは、この数十年間あまり進化を見せていない。1971年4月1日の『読売新聞』は当時の入社式を次のように報じている。日産社長は訓示で「組織に飼いならされずに、逆に活力を吹き込む人間を期待する」と若者に呼び掛けた。東芝社長は「消極的な気持ちではいけない。自分の創造力を生かす心づもりでいってほしい」。トヨタ社長は「国際的感覚を身につけ広い視野にたって仕事をして欲しい」。

社長が新入社員に向けてメッセージを発するという儀礼自体が重要なのであって、内容はどうでもいい。面白いのは、空虚な訓示を発する入社式なるものを、未だに多くの企業が同じ4月1日に実施し続けているという点にある。新入社員に向けては、散々、チャレンジ精神の発揮を呼び掛けているにもかかわらず、独創性の欠片もない。そして、昨日まで学生だった人々が、入社式で社長のつまらない話を聞いたからといって、急に立派な「社会人」になれる訳ではない。多くの「社会人」は別に大した人々ではない。

新入社員が使えないのは当たり前である。なせならば、「仕事ができる」というのは多くの場合、その人が所属するコミュニティや業界のルールをいかに多く取得できたかという事に依存しているためだ。スピードや勢い重視なのか、それとも丁寧さが要求されるのか、それとも経費削減が至上命令なのかによって、「正解」は変わってくるだろう。「使える」「使えない」というのは、本来はエントリーシートや採用面接で見極められるようなものではない。

「入社式」という通過儀礼を経た人々は、良くも悪くも自分たちの仲間である。だからこそ、自分たちの独自のルールで「今年の新入社員は使えない」と判断してしまうのだろう。しかし、そこでいう「使える」「使えない」という判断は、その企業内でしか通用しないものかも知れない。