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2014/06/04更新

悪の出世学 ヒトラー・スターリン・毛沢東 (幻冬舎新書)

209分

4P

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会議では最後に整理してすべて持っていく

スターリンは会議ではいつも最後まで何も発言しなかった。全員がそれぞれの意見を言うのを聞き終えてから発言する。まず、今までに出た意見をいくつかに分類し、それぞれを比較してみせる。みな、聞き入るしかない。そのまとめ方が的確なので、誰も異論を挟まない。こうして、全員がスターリンの言う事を聞き入ったところで、彼自身の意見を述べると、いつの間にかそれが会議の決定事項となる。

スターリンとしては、他人が発言した意見で最も支持を得そうなものを、自分の意見としてしまえばいい。それを積み重ねる事で、いつしか「スターリンはいつも正しい事を言う」とのイメージができ上がった。

汚れた仕事を請負い、共犯者の弱みを握る

スターリンは、企業でいう営業部門の最前線にいた。スターリンの強みは労働運動(ストライキやデモ)の現場を知っている事だ。そして、スターリンは合法・非合法を問わず、党のために金を稼いだ。ロシア民主労働党の暗部の仕事をした事で、レーニンをはじめとする幹部たちの弱みも握った。危ない仕事・汚い仕事に他人も巻き込んで共犯関係を作って相手の弱みを握るのが、スターリンの人生の基本戦略となる。

時が来るまで直属の上司には逆らわず、地道で面倒な実務こそ引き受ける

スターリンはいつもレーニンのそばにいるようになった。レーニンの方針に常に賛成していたがため、共産党内の中央委員会のメンバーというポジションが回ってきた。上司が党の最高権力者となったから、自動的にスターリンはNo2か3のポジションがもたらされた。レーニンとしてはスターリンの知性や知識、人格や性格を評価して抜擢しているのではない。絶対に自分に逆らわない者として重用していただけに過ぎない。レーニンはスターリンには意見を求める事すらしなかったが、日常的な行政事務の遂行にあたっては、スターリンを頼るようになっていく。

えてしてカリスマ性と自分の才能に自身のある者は、退屈なルーティンワークを苦手とする。派手で目立つ仕事ばかりをしたがり、地道な仕事は蔑視しがちだ。従ってスターリンは実務を引き受ける事で党内の情報を掌握し、彼なしでは組織が動かない状況を作り上げていく。

最高幹部のたった1人の連絡役になる

1918年、レーニン暗殺未遂事件が起きた。スターリンは、レーニンがそう長くないと判断した時点で、レーニンと必ずしも同一歩調を取らなくなる。重症となったレーニンの容態を安定させるとの名目で、レーニンと会えるのは党幹部でもスターリンのみとなった。これにより、レーニンのもとにはスターリンが許可した情報しか上がらなくなり、レーニンの意向もスターリンを通してしか党に伝わらなくなった。こうして情報を遮断する事で、スターリンは実質的な権力を握った。