イノベーターに欠かせない資質
これらを統合すると、成功するイノベーターに最も欠かせない資質のいくつかは次のようになる。
・好奇心:いい質問をする癖と、もっと深く理解したいという欲求
・コラボレーション:自分とは非常に異なる見解や人の話に耳を傾け、学ぶ
・関連付けまたは、統合的思考
・行動志向と実験志向
こうしたスキルや考え方の癖は、育てたり、教えたり、引き出したりできる。私達の多くは、クリエーティブで独創的な人は生まれつきそうなのだと考えがちだ。しかし、ほとんどの人は正しい環境とチャンスを与えられれば、もっと独創的になれる。
イノベーターはどのように育つのか
イノベーションはゼロから起こす事はできない。専門性(知識)が必要だ。さらに、クリエーティブな思考力が必要だ。それは正しい疑問を投げかけ、結び付きを見出し、観察し、共感し、コラボレーションし、実験する能力である。最後にモチベーションが必要だ。
ハーバード大学経営大学院のテレサ・アマービル教授は、モチベーションは専門性やスキルよりもはるかに重要だと考えている。そして、モチベーションを外的モチベーションと内的モチベーションに分け、創造性には後者が極めて重要であるとしている。
では、内的モチベーションとは何なのか。どうやってそれを伸ばせばいいのか。
内的モチベーションには遊び、情熱、目的意識という3つの要素がある。この3つを親、教師、メンター、経営者がどのように奨励するかによって、若きイノベーターの人生には大きな変化が表れる。
①遊び
人間は新しい可能性を探り、実験し、想像する欲求、つまりイノベーションを起こす内的欲求を持って生まれる。そして、子供はこうしたスキルを遊びを通じて学ぶ。
②情熱
起業家として成功するかしないかの半分は、根気で決まる。だから自分が情熱を感じられるアイデアや課題、あるいは正したいと思う間違いを見つけなくちゃならない。
③目的意識
若きイノベーターはほぼ例外なく、青年期に何かを学ぶか実現したいという情熱を抱くが、その情熱は学習と探究を通じてもっと深いもの、もっと持続的で信頼できるもの、即ち目的意識へと進化する。
若きイノベーター達は子供時代に大いに遊んだが、その遊びは多くの子供の遊びと比べると極めて無秩序なものだった。そこには試行錯誤によって物事を探り、実験し、発見するチャンス、つまり冒険して失敗する余地があった。子供時代のこうしたクリエーティブな遊びを通じて、彼らは情熱を傾ける対象を見つけた。しかしその情熱を追求する過程で、関心の対象が変わり予想外の変化が起きる。それは新たな情熱を育み、時間が経つに連れて、より深く成熟した目的意識へと発展していく。