文句を聞く
商品を開発する際、市場調査などの各種リサーチをかける事が多い。それには、次の目的がある。
①消費者のニーズを知りたい
②検討している内容の仮説で本当に売れるのかを確かめたい
しかし、こうした調査によって潜在ニーズを発見する可能性はほぼゼロ。これらによって明らかになるのは、回答に参加した消費者の顕在意識に基づくニーズである。
潜在ニーズを発見するためには、文句を聞く事である。人が商品やサービスを欲しいのは、それによって満たされたいからである。満たされない思いは、不満=文句というカタチで口から出る。文句というのは、「満足」状態になるために不足しているものを示唆してくれる心の声であり、ニーズそのものなのである。
実際に商品開発するために、たくさんの文句を集めたい時は、グループインタビューを行うのが効果的である。意見を聞く時のテーマは「発泡酒」「焼酎」というような細かい区分けよりも、「お酒」というように大きく設定した方が良い。商品コンセプト、中身、ネーミング、デザイン、広告、ブランドイメージなど、商品に付随するあらゆる事を聞いてみるのがベストである。漠然としたものではなく、重箱の隅を突くような細かな文句の方が、あとあと使いやすい。
文句を組み合わせる
文句から潜在ニーズを見つけ出す方法は、文句を組み合わせてみる事である。例えば品質に対する「安っぽい」という文句と、値段に対する「意外に高い」という文句、デザインに対する「高級感が足りない」という文句が組み合わされれば、「商品としての質も見た目も価格に見合うレベルに達していない」=「価格は維持しても、質も見た目ももう一段上のものが欲しい」という潜在ニーズが見えてくる。
文句をくっつける時は「それはできない」と考えてしまう思考はいったんオフにする。文句のくっつけ作業を繰り返し、「これだ!」と1つに絞るのは、自分自身でやるほかない。それがどれほど潜在ニーズをとらえているのか、仮説と検証を繰り返しても、絶対の確証には至らない。最後には「きっとこれが正しいのだろう」と、自分で判断しなくてはならない。「こんなものが欲しい」と自分で思える商品こそ、ヒット率が高い。
問題解決のカタチを商品にする
潜在ニーズを発見したら、次の項目を押さえて、商品化を立案する。
・相手は何に困っている?
・自分達で助けられることは?
・具体的に、どうやって助ける?
・数値目標とスケジュールは?
・社内と相手の説明方法などのアクションプランは?
・成功の確率/失敗の確率