野菜ジュース『充実野菜』や缶コーヒー『ルーツ』などのヒット商品を生み出したマーケターが、ヒットする商品の生み出し方を解説している本です。
■潜在ニーズこそヒットを生むカギ
あらゆるヒット商品の根源には「潜在ニーズ」という共通した「ヒットの正体」がある。モノも情報も過剰気味のこの時代、そもそも市場には必要なものがほとんど満たされている。市場や消費者、時代の変化によってニーズが発生すれば瞬く間にたくさんの企業が駆け込み、発生したニーズに対して商品やサービスをあとから供給するだけでは、ヒットと呼べるものはなかなか生まれない。
そこで重要なのが、潜在ニーズである。「そうそう、これが欲しかったんだ」と本人でさえ自覚できていなかったところに、ポンと正解をもたらしてくれるようなものこそ、ヒットを生み出す条件である。
潜在ニーズを見つけ、ヒットさせるのに、特別な才能や、莫大な予算、画期的な技術や発想は必要条件ではない。
■「刺激」と「感動」を与える
人に喜ばれる事を目指して商品やサービスを生み出したならば、マーケティング、すなわち人や社会に対し、「刺激」や「感動」を与え、そして「行動」を起こさせる。以前は「刺激」のかわりに「納得」が重要視されていたが、最近では刺激がなければ消費者の心は動かない。「刺激」と「感動」がある事で、実際に購入してみるという「行動」が生まれる。
「刺激」や「感動」の源泉となるのが潜在ニースである。自分自身でも意識できなかった、自分にとって本当に欲しかったものを送り届ける事が「刺激」や「感動」をもたらし、結果的にヒットとなる。
■どうすればヒットするのか
ヒット商品には、2つのポイントがある。
①メリットの多さ
ヒットする商品には、それだけ消費者が魅力を感じるメリットがあるが、たくさんあればあるほどいい。
②はじめて
「メリット」がはじめての事だとなお良い。「ただ1つの掃除機」をうたったダイソンの掃除機のように「唯一」「世界初」「業界初」といった文言に人は惹かれる。それも、1つの「はじめて」ではなく2つも3つもくっつくと、それが2乗3乗のパワーになる。
著者 山本 康博
1965年生まれ。ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表 1987年、伊藤園へ入社。1992年、1993年と2年連続で日経ヒット商品番付に選ばれた「ぎゅっと搾ったレモン水」や「充実野菜」などを企画開発。 1995年、日本コカ・コーラへ。「リアルゴールド」の缶化、「ベジータベータ」などのブランドマネジャーを経験後、31歳でマーケティング統括部長代理となり、1兆円規模のコカ・コーラ社新商品マーケティング戦略を担当。 1999年、日本たばこ産業へ移り、翌年34歳でマーケティング部長となり、飲料事業売上を5倍に伸ばす。「桃の天然水」のブランドマネジメント、缶コーヒー「ルーツ」の立ち上げに貢献し社長賞受賞。2年連続業界トップ売上伸長率達成。 2006年独立。化粧品、医薬品、アルコール飲料などさまざまな業界でリーディングカンパニーのブランドコンサルティング、マーケティングに携わる。
帯 セブン銀行 取締役 大橋 周治 |
日経ビジネス |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
日経ビジネス Associe (アソシエ) 2014年 07月号 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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プロローグ ヒット商品はどのように生まれるのか? | p.9 | 5分 | |
1章 私はこうしてヒット商品を生み出した | p.19 | 23分 | |
2章 誰も気づいていないことに「気づく力」 | p.61 | 27分 | |
3章 問題解決のカタチを「商品」にする | p.111 | 50分 | |
4章 「あきらめない力」を鍛える | p.203 | 16分 | |
エピローグ 世の中は変化する。だから新たなヒットが生まれる | p.233 | 2分 |