農協職員から東大法学部教授、そして熊本県知事となった異色のキャリアを持つ蒲島氏の仕事術。くまモンを採用し、営業部長に抜擢し、これまで大きな経済効果を生み出してきた熊本県知事がどのように県庁職員を動かしてきたのか。熊本県の改革について書かれた1冊。
■皿を割れ
「皿を割れ」。これは熊本県知事に就任してから、様々な機会を通じて県庁の職員に伝えている言葉である。「皿を割れ」は、韓国長城郡の奇跡を成し遂げた、金興植郡守(長官)の言葉である。「皿を割れ」という意味は、「たくさん皿を洗う人は、たくさん皿を割る。つまり、失敗を恐れずに、挑戦する事が大切」という事である。
「皿を洗わない人は、皿も割らない。皿を割ってもいいから、とにかくたくさん皿を洗おう」と呼び掛けている。たくさん皿を割った人は、それだけチャレンジしている事になる。県庁をあげてくまモンというキャラクターを売り出す、「くまモン革命」ともいえる未だかつてないチャレンジもその1つである。
知事になった当初、職員と接して感じたのは「石橋を叩いても渡らない」ある意味、堅実な県庁文化である。何か提案しても「それは難しいです」の一言が返ってきていた。なぜ難しいのかを問うと、「前例がないです」「国は認めないんじゃないですか」「他県では、そういう取り組みはしていません」という理由を挙げる。これでは何も新しい事はできない。
県庁では国に言われた事をやればいい、他県と比べてどうなのか、という考えになりがちである。しかし、国に依存していては地方の自立は実現できない。さらに、他の県と比べてばかりいると、画一的、統一的な行政になってしまう。
そこで就任時から「できないと思うな。どうしたらできるかを考えて欲しい」と職員たちに訴えている。それを象徴するのが「皿を割れ」という言葉である。
著者 蒲島 郁夫
1947年生まれ。熊本県知事 高校卒業後、地元の農協に勤務。1968年、農業研修生として渡米し、ネブラスカ大学農学部に入学。その後、ハーバード大学大学院博士課程に進学して政治経済学を研究、博士号を取得。 帰国後、筑波大学教授を経て1997年、東京大学法学部教授に。2008年、熊本県知事に就任。現在2期目。
帯 放送作家 小山 薫堂 |
週刊 ダイヤモンド 2014年 4/12号 [雑誌] |
週刊 ダイヤモンド 2014年 4/26号 [雑誌] 紀伊國屋書店和書仕入本部係長 水上 紗央里 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.3 | 2分 | |
第1章 熊本の営業部長くまモンは、最初は臨時職員だった | p.13 | 23分 | |
第2章 くまモン、日本から世界へ | p.53 | 29分 | |
第3章 合い言葉は、「皿を割れ」 | p.103 | 26分 | |
第4章 リーダーとしての仕事術 | p.149 | 18分 | |
第5章 逆境の中にこそ、夢がある | p.181 | 24分 | |
第6章 私の使命は熊本県民を幸せにすること | p.223 | 18分 |