ゲームのルールを根底から変える「パラダイム・シフト」はどのようにして起こるのか。1995年にイノベーションの原理を解説して売れ続けるロングセラー。
■将来を予見する必要がある
1968年、世界の腕時計市場のシェアは販売個数ベースで65%以上をスイスが握っていた。ところが1980年になると、スイスの市場シェアは10%以下にまで落ち込んでしまった。スイスが直面したのは、腕時計づくりのルールが根本から変わってしまう「パラダイム・シフト」だった。機械時計から電子時計の時代になれば、スイスが得意としていた歯車、ベアリング、ぜんまいといったものはすべて無用になる。
クオーツ時計には、ぜんまいも、ベアリングもない。歯車もほとんど要らない。こんなものが将来の時計になるはずがないと、スイスの時計メーカーは思い込んでいた。スイスの過ちを繰り返さないためには、将来を予見する能力を高める必要がある。将来を正確に予測する事はできないかもしれないが、努力すれば、おおよその姿、おおよその方向は必ず見えてくる。
■パラダイム・シフトの3つの原理
①パラダイムは常に、多くの問題を解決している時でさえ、解決できない問題を浮き彫りにする。その解決できない問題が引き金になって、新しいパラダイムへの模索が始まる。
②パラダイムを変えるのは、ほとんどいつもアウトサイダーである。アウトサイダーは、現在のパラダイムの機微を理解しておらず、それに投資していないからだ。
③パラダイムの開拓者は、十分な根拠なしに、思い切って決断を下す。パラダイムを変えたいと思うのは、自分の直観を信じているからだ。
著者 ジョエル バーカー
米ミネソタ科学博物館 未来学研究部長 米ミネソタ科学博物館の未来学研究部長を務めるかたわら、数多くの企業のコンサルタントとして経営者および社員の意識改革に携わる。
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに 将来の三つのキーワード | p.7 | 3分 | |
第1章 将来を見つめる | p.12 | 4分 | |
第2章 先見性が勝負を決める | p.18 | 7分 | |
第3章 パラダイムとは何か | p.30 | 10分 | |
第4章 新しいパラダイムはいつ現れるのか | p.46 | 10分 | |
第5章 だれがパラダイムを変えるのか | p.62 | 13分 | |
第6章 だれがパラダイムを開拓するのか | p.84 | 10分 | |
第7章 パラダイム効果とは何か | p.100 | 7分 | |
第8章 パラダイム効果の実例 | p.112 | 24分 | |
第9章 二十世紀のもっとも重要なパラダイム・シフト | p.152 | 11分 | |
第10章 振り出しに戻る | p.170 | 7分 | |
第11章 パラダイムの重要な特徴 | p.182 | 7分 | |
第12章 管理者とリーダーとパラダイム | p.194 | 8分 | |
第13章 一九九〇年代のパラダイム・シフト | p.208 | 22分 | |
第14章 そして、時は行く | p.244 | 11分 | |
あとがき | p.262 | 5分 |
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