人気番組『情熱大陸』の5代目プロデューサーが、番組制作の現場から学んだ事をまとめた1冊。一流の人たちから何を学び、どのような視点で番組を作っているのかが語られています。
■非効率が成果を生む
『情熱大陸』の企画の選定は、制作会社からプレゼンを受ける、出演者本人からの直接の売り込み、自分で興味ある人を調べる、MBS社内のスポーツ局や報道局などのディレクターからの提案などのパターンがあり、だいたい月に100本ほどの企画が集まる。
その中から決まった企画は、常に20本ほど走っている。実際に出演者と向き合うのはディレクターで、どうやって撮影していくのか常に考えながら取材は進む。VTRの編集が完成するのはだいたい金曜日で、ナレーションを録るのは放送前日の土曜日。ギリギリになるまでやっている。放送日の4日前に撮影しているのは決して珍しい事ではなく、最後の最後まで、なくてはならない映像、より良い映像を撮ろうとする事が、最後のギリギリの状況につながってしまう。
番組は出演者へのラブレター。最大限努力して最適で、出演者にとっても満足してもらえる放送にしたいのである。一見、非効率に思える作業でも、効率重視で行う作業より大きな成果を生む事がある。
情熱大陸で毎週いろんな人の生き方を見る内に、「かっこ悪いものの中にこそ、かっこいいものがある」という事を学んだ。必死になってもがくところに情熱があり、だからこそ、その情熱は伝わるのである。
スターになれない凡人でも、その場その場で、自分に足りないものに気付き、学ぶ事ができれば輝ける。凡人に唯一必要なものがあるとすれば、それは「じっと見る」事と「ゆっくり考える」事である。それさえできれば、目の前で起きた事を、凡人しか持ちえない「空のスポンジ」に吸収をしていく事ができる。
著者 福岡 元啓
1974年生まれ。MBS『情熱大陸』5代目プロデューサー 大学卒業後、1998年毎日放送入社。ラジオ局ディレクターとして『MBSヤングタウン』を制作後、報道局へ配属。神戸支局・大阪府警サブキャップ等を担当、街頭募金の詐欺集団を追った「追跡!謎の募金集団」や、日本百貨店協会が物産展の基準作りをするきっかけとなった「北海道物産展の偽業者を暴く」特集がギャラクシー賞に選出され、『TBS報道特集』など制作の後、2006年東京支社へ転勤。 2010年秋より『情熱大陸』5代目プロデューサーに就任し、東日本大震災直後のラジオパーソナリティを追った「小島慶子篇」、番組初の生放送に挑戦した「石巻日日新聞篇」でギャラクシー月間賞。水中表現家の「二木あい篇」でドイツ・ワールドメディアフェスティバル金賞受賞。
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
週刊 ダイヤモンド 2014年 6/28号 紀伊國屋書店和書仕入本部係長 水上 紗央里 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.2 | 3分 | |
第一章 “補欠入社”の僕が『情熱大陸』のプロデューサーになるまでに学んだこと | p.13 | 39分 | |
第二章 時間の使い方 | p.97 | 15分 | |
第三章 仕事の進め方 | p.129 | 20分 | |
第四章 自分の打ち出し方 | p.171 | 13分 | |
第五章 人との付き合い方 | p.199 | 14分 | |
おわりに | p.228 | 1分 |