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2014/04/18更新

藻谷浩介対話集 しなやかな日本列島のつくりかた

180分

1P

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「限界集落」と効率化の罠

限界集落は「この場所は効率が悪いからいらない」と切り捨てられる対象になる。ただ、そういう考え方を突き詰めるとどうなるか。結局、「全員、東京に行けば?」という事になり、それを言い出すと「世界の中で、東の端の島国の日本はいらない」という話になる。

効率と無駄は相対的なもので、絶対的な線が引けるものではない。「効率」という尺度だけで議論してしまうと、暮らしの多様性が見失われてしまう。そうではなく、「効率が悪いのならもっと早く消えていてもおかしくないはずなのに、なぜ残っているのか」を考える事が、本当の意味で効率性を議論する事にもなる。都市であれ、村落であれ、集落が多様である事は、とてつもなく重要な事で、そこで国全体の機能がうまくまわってきたという可能性は非常に高い。

「観光地」は脱・B級志向で強くなる

今、日本ではチープな地域振興がもてはやされている。B級グルメ、単発イベント、ゆるキャラ。ダメな地域は、その3つを必ずやっている。その地域の既存の資源をしっかり活用して育てましょう、という話にならずに、新しい何かに飛びつきたがる。

ゆるキャラは、最初から失敗を見込まれた、残念な存在だから愛らしい。B級グルメも人が集まるだけで、全く収益を生まない。地元でとれるいい素材を使いながら、予算を抑えて振る舞おうとするから、原価割れしてしまう。

そもそも、A級品がないところにB級品は存在できないのに、いきなりBだけ作るから話がおかしくなる。宿泊も食事も、まずはその地域で一番と言えるものを提供できるようにすべきである。最初に富裕層を相手にする事でサービスの質も上がり、観光リゾート地としての全体的なレベルも向上する。

「医療」は激増する高齢者に対応できるか

いくら株が上がろうが、このまま行くと財政が高齢者の激増による医療費増で破綻する事には、何の変わりもない。この急激な高齢化に対応するのに、医療による「キュア(治療)」では、いくらお金があっても足りない。だから、これまで福祉が提供してきた「ケア(療養)」のネットワークを広げる事こそが重要である。地域の保健室のような場所で、ボランティアの人も多くいるという社会関係資本みたいなものを作るなどして、ケアのネットワークを広げなければならない。皆が医療にたかっても、もう現場が疲弊していくだけである。

おそらくこのまま高齢化が進んでいくと、システムがいずれもたなくなる。例えばフリーアクセスの制限や、救急車の有料化なども、避けられなくなる。そうでもしない限り、守っていけない。