今読むべき優良ビジネス書が
すぐ見つかり、読んだ本を
しっかり自分の知識にするサイト

本を検索する

カテゴリーから探す

人気のタグ

お知らせ


Android無料アプリ配信中
2014/04/09更新

君の働き方に未来はあるか? 労働法の限界と、これからの雇用社会 (光文社新書)

172分

3P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

対象読者:

アマゾン詳細ページへ

正社員になれない時代

正社員になるのは、ロングな雇用保障契約を結ぶのと同じ事を意味する。これだけを見れば、自由を捨てるだけの価値はありそうである。しかも、正社員であると、職業人として一人前になるまで育ててもらえるという特典までついている。

しかし、正社員の枠は狭まりつつある。少し前までの日本では、大学を出れば、正社員にふさわしい基礎的な能力があるとみなされてきた。しかし、2007年には大学は全入時代を迎えた。大学を卒業したという事実は、単に親に学費を負担するだけの経済的余裕があった事を意味するにすぎなくなった。こうして、企業は大学をランク分けして選別するようになった。大学を出ても正社員になれない人が増えてくる事は仕方がない事である。

いまや多くの企業に広く普及した成果主義は、正社員として雇ったけれど、十分に貢献できない人に対して、雇用は保障するけれど、賃金は下げるという企業側の対抗手段だった。働く側からみれば、簡単には正社員になれない時代が来たという事である。

正社員と非正社員の格差は縮まらない

非正社員で働く人の数は増加傾向にあり、正社員と非正社員の比率は、現在では2対1くらいとなっている。現代の労働法の流れは、非正社員を正社員に近づけようとする事に主眼がある。ところが、現実には正社員と非正社員との間には格差がついている。なぜなら、正社員には、法律で定めている処遇を上回るものを、企業が自ら与えているからである。一方、非正社員は、そもそも長期的に働く事が想定されていないので、企業としては手をかけて育てようとせず、高い給料を提示してつなぎとめようともしない。そのため、いつまで経っても技能は向上せず、難しい仕事もさせてもらえない。

しかし、格差の是正は、恵まれた正社員を増やす事につながらない。「みんなが正社員」のスローガンは企業に無理をかける事になり、正社員の給料や雇用を不安定にする。成果主義がもっと広く導入され、基本給は引き下げられやすくなる。さらには、経済的な理由による整理解雇を制限する法律のルールの見直しが強く求められ、正社員が恵まれた存在と言えなくなる。

転職力を身につけよ

こうした雇用社会の中で生き延びていくためには「転職力」が必要である。他社から引き抜かれる力であり、よい労働条件を引き出す力である。ここでネックになるのが、日本の正社員は「何でも」やる労働者である事である。いろんな職種を経験するのは、その企業で働き続ける限り、プラスに評価される。しかし、他企業に移るとなると「何でも」やる労働者は、特に秀でたスキルを持っていない労働者と同義になってしまう。「転職力」を高めるには、まずは汎用的なスキルを身につける事が大事である。そして、自分のスキルは商品であるという意識を持つ必要がある。