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2014/03/28更新

覆す力 (小学館新書)

135分

1P

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負けた時こそ学ぶことがある

同期である羽生義治という偉大な棋士に追いつけず、苦悩の中で研鑽を続けた森内俊之氏。ついには永世名人の称号を得て、トップ棋士の1人となった森内氏の勝負哲学が語られている本です。負けから何を学ぶかが大切であると説きます。


■自分の特徴に気付き、適切な努力をする
「プロとして大成するためには、努力と才能のどちらが大切ですか?」と時折、質問される。将棋の世界においても、棋界を統一するような何十年に1人の王者は子供の頃から特別視されている。しかし、プロを目指す大部分やほとんどのプロ棋士にとってさえ、それは他人事だ。才能の足りない所は努力で補うしかない。

持って生まれた才能は変える事ができないし、やみくもな努力は効率が悪い。自分の特徴に気付き、適切な努力をする事こそが、これまでの自分を変える最良の方法ではないか。人はそれぞれ得意な事が違うので、自分に合ったジャンルを見つけて、自分に合った方法で力を発揮すればいい。

難しそうに思える事でも、やってみれば案外できてしまう事は多い。大人になってからだって、将来の事は未知数だ。過去の自分を覆しながら、自分の可能性に挑戦していけばいい。

超短要約

■勝つための将棋
「勝つための将棋」ではなく「正しい将棋」を指したい。どんな勝負でも一手一手を全力で考え、最善手を追い求める。それが「正しい将棋」だと信じていた。数学で例えるなら、すでに証明されている公式があるにもかかわらず、それを使う事を潔しとせず、さらに合理的な定理を追い求めるようなものだ。人間が指す将棋に絶対というものがない以上、棋士は常に「正しい将棋」を求める姿勢を失ってはならない。

しかし、プロとして戦っていく以上、理想ばかりを追い求めるのではなく、結果を出さなくては意味がない。数学のテストで公式を使わなければ、全問解けないまま試験時間が過ぎてしまうだろう。

勝つために自分のこだわりを捨て、序盤を研究の成果に頼るように頭を切り替える。将棋における研究とは「傾向と対策」を予習しておく事だ。序盤の攻防は、ある程度はパターン化された戦型で行われる事が多い。ならば、序盤は日頃の研究の成果を信じてテンポ良く進め、難問が待ち構える中盤から終盤に余力を残しておいた方がいい。

但し、プロ棋士同士であれば、同じテクニックは何度も通用しない。勝つためには、研究を怠らず、さらに地力を蓄えなければならない。そのために必要なのは、結局、日々の地道な努力だ。

著者 森内 俊之

1970年生まれ。将棋棋士 小学六年生で勝浦修九段に師事し、1982年、奨励会に入会。同期に羽生善治、佐藤康光、郷田真隆らがいる。1987年、四段に昇段、プロ棋士に。 2002年、第60期名人戦で丸山忠久を破り、名人位を獲得。2007年、名人位の通算獲得数が5期となり、十八世名人の資格を得る。 2014年2月現在、竜王・名人。名人位の通算獲得数8期は、大山康晴、中原誠に次ぎ、木村義雄と並ぶ歴代3位タイ記録。

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章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
はじめに p.3 2分
第1章 竜王戦 p.13 12分
第2章 将棋との出合い p.37 21分
第3章 若手棋士 p.79 21分
第4章 名人への道 p.121 16分
第5章 羽生さんとの名人戦 p.153 12分
第6章 私の勝負哲学 p.177 19分
おわりに p.216 1分

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