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2014/03/13更新

キャラクタードラマの誕生: テレビドラマを更新する6人の脚本家

206分

6P

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人間とキャラクターの間で

90年から活動する岡田惠和の脚本は2種類に分類できる。1つはリアル志向のオリジナル作品。もう1つは『南くんの恋人』から『泣くな、はらちゃん』『スターマン・この星の恋』に連なる漫画原作、あるいは漫画やアニメのエッセンスが盛り込まれた「キャラクタードラマ」の流れだ。

オリジナルが高く評価され、原作モノが不当に低く見られるテレビドラマ業界において、岡田のように長いキャリアのある脚本家が、後者の原作モノを手掛け続けているのは極めて異例である。

不当に低い評価をされるキャラクタードラマだが、その本質は、漫画やアニメを実写で再現する事ではない。平面の絵と立体物は、本来相容れないものだ。生身の人間が二次元のキャラクターとして振る舞おうとすればするほど、逆に身体性や内面がにじみ出てしまう。そのにじみ出る人間性にこそキャラクタードラマの面白さが宿るのだ。キャラクタードラマとはあくまで手法であり、その根底にあるのはオリジナル作品と同じように「人間」を描く事なのである。

作りものであっても、そう振る舞っている瞬間には、確かに「恋のようなもの」は存在する。それこそが、テレビドラマや芝居の本質ではないか。

テレビドラマは漫画・アニメ的な表現を取り込んだ

現時点におけるキャラクタードラマを定義するならば、以下の4つを挙げる事ができる。

①漫画やアニメを原作とするドラマ、もしくは漫画やアニメの表現を作品内に持ち込んだドラマ(『南くんの恋人』『金田一少年の事件簿』『ケイゾク』)
②役者のキャラクター性に強く依存したドラマ(木村拓哉が主演のドラマ)
③主人公の個性がドラマの全面に出ているドラマ(『古畑任三郎』『相棒』)
④人間の内面をキャラクターという表現で描いたドラマ(『野ブタ。をプロデュース』)

これら4つの要素は、個々に独立したものではなく、複雑に絡み合っている。

映画や文学の持つ重厚さにテレビドラマが近づこうとした結果生まれたのが、山田太一や向田邦子、倉本聰の文芸性の高い人間ドラマだったとすれば、宮藤官九郎や堤幸彦のドラマは、漫画・アニメの文体を取り入れた「キャラクタードラマ」である。

最近の俳優の演技にはアナログな「人間芝居」とデジタルな「キャラクター芝居」がある。「人間芝居」とは、複雑な感情の機微を感じさせる芝居。一方、「キャラクター芝居」とは、漫画やアニメに登場するような、個性がはっきりした記号的な登場人物を演じる際に用いられる芝居である。両者の要素は単純に切り分けられず、むしろキャラクタードラマの出現は、キャラクターという回路を用いる事で新しい時代の人間ドラマを表現しえている。