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2014/04/11更新

地域の「おいしい」をつくるフードディレクションという仕事

162分

2P

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目先の売上からブランドは生まれない

1つのプロジェクトが始まると、仕事時計のアラームをまず3年に設定する。1年目はお見合い期間、2年目は実行、3年目は成果と検証。飲食の場合、クライアントの事業を理解するには、最低でも1年間の流れを見る必要がある。食文化は歳時記や季節とともにあり、食べ物には旬があるからである。1年ならば1回、10年ならば10回しかチャレンジする機会がない。毎年、毎シーズンのワンチャンスで1、2商品を開発したところで、ブランド形成を目指すまでには至らない。結果を残した多くのプロジェクトは3年以上に亘って継続している。目先の売上向上ではなく、ブランドの芯を育てて、中長期に亘るビジョンを育てていくためには、こんなペースが合っている。

ヒアリングが課題を浮かび上がらせる

新しい仕事は、クライアントを理解するところから始まる。個人であれ、企業であれ、まず出逢ってじっくりと話を伺う。そうすると、彼らが必要としている商品の向こう側、つまり本当の課題が見えてくる。なぜその商品が必要なのか、どうしてその事業を立ち上げようとしているのか、そこには必ず理由がある。とにかくヒアリングが大事。ここに十分比重を掛ける事で、簡単に打ち捨てられてしまうような、安易なものづくりをしないという姿勢を、おのずと相手に伝える事にもなる。

産地の声から第一歩を考える

企画を立てる前には、必ず産地や工場、販売店を訪れ、生産者や職人、その地域に暮らす人々と環境に出逢う。そうする事で「なぜこの商品が必要なのか」という開発の本質が見えてくる。課題が見えてくると、今度はそれをどういう形で解決するか、という手法を選択する。課題を克服し、クライアントにとって新しい価値を提供する商品とは何か、を決める。例えば、レシピ開発かもしれないし、時には新しいパッケージが必要な時もある。

「何を」ではなく「どう」届けるか

都市部には世界中からありとあらゆるモノと情報が集まる。最初の内は新しい話題を探すマスコミで話題になっても、2〜3年も経てばリニューアル、あるいは姿を消していくのが実情である。

熾烈な競争の中でも通用する、地元の価値とは何かという検証はおろそかにできない。商品開発に大事なのは、足し算ではなく、引き算である。あるものを無理矢理足したり、つないだりして目新しい味をつくるのではなく、産地が本来持っている資源を活かすのである。

商品の芽を見出すためには、埋もれている価値がないか、まずよく観察すること。そして、これら1つ1つのものを「どう伝えていくか」が要である。このプロセスに手間ひまを掛けるからこそ、「売れる商品」になる。地域ブランドの商品づくりとは、付加価値型の開発ではなく、「価値の発掘と再構築」なのである。