お金を稼ぐよりも、お金の使い方を変える方が、幸福度に大きな影響を及ぼす。
TEDにも出演する著者が、どのようなお金の使い方をすれば、より幸福になれるのか、5つの原則を紹介しています。
■お金を稼ぐよりも使い方を変える
多くの人はお金がたくさんあれば幸福になれると考える。ところが、最近の研究ではその予想とは異なり、富を増やしても、より幸福になれるわけではない事が示されている。アメリカ国民を対象にした調査によれば、収入が25000ドルから55000ドルに増えれば人生の満足度は倍増する、お金が2倍になれば幸福も2倍になると人々は考えていた。ところがデータからは55000ドル稼いでも25000ドルしか稼いでいない人達より満足度は9%しか増加しない事がわかった。
研究では、世界のあらゆる所で、人々が微笑んだり、笑ったり、ごく日常な楽しみを経験できるかどうかに、収入は驚くほどわずかな影響しか与えないという結果が出ている。また、アメリカでは年収が約75000ドルを超えると、それ以上お金を稼いでも、日々感じる幸福に全く影響が表れない事がわかっている。
私達は使うお金がたった5ドルであっても、その使い方を変えると、その日全体の幸福感まで変わってしまう。稼ぐよりも、お金の使い方を変える方が、幸福度に影響を与える。
■経験を買う
①新しい家を買っても、幸福になれるわけではない
②経験にお金を使う事で満足感は上昇する
③経験や買い物は、人の本質を浮き彫りにする
④過去の思い出が自分に自信を与えてくれる時がある
⑤喜びを与えてくれる4つの経験
・社会的なつながりが生まれる経験
・思い出話になりそうな経験
・自らが望む理想の自分像に結びつく経験
・めったにないチャンスを与えてくれる経験
⑥経験的な買い物による満足感は時間の経過とともに増していく
■ご褒美にする
①どんなに価値のあるものでも繰り返し遭遇すると、インパクトは弱くなっていく
②裕福な人ほど、人生の小さな喜びに気が付かなくなる傾向がある
③何かが永遠に続かないと悟ると、人はそれをより貴重なものだと思うようになる
④人はたくさんの国を訪問すればするほど、世界を旅した意識が強くなる
⑤距離を置く事によって、新鮮味を取り戻せる
■時間を買う
①忙しく生きる事は人を幸福にしない
②豊かさを求めすぎると、自由な時間が奪われる
③時間があると感じると、人生の満足度は上がる
④たった1つの買い物が、1日に大きな影響を与える
⑤時間を使ってお金を稼ぐ事よりも、幸せな気分を感じるにはどうすればいいか考える
■先に支払って、あとで消費する
①幸福を与えてくれる3つのパターン
・支払ったものに対して期待がふくらむような要素を見つけられる場合
・支払ったものに対して、楽しみになり、実際に消費した際に喜びが増す場合
・消費する経験自体はかなり短時間に終わってしまう場合
②「現在の威力」は強烈で、先送りによる楽しみを小さく見せてしまう
③先に支払って、あとで消費する事によって、遠い将来の事を考えられるようになる
■他人に投資する
①少ない金額でも他人のために使うと幸福感は増していく
②チャリティーに寄付すると報酬に関連する脳領域が活発に反応する
③他人とのつながりを深める方法で投資する事が最も幸福感を得られる
著者 エリザベス・ダン
ブリティッシュコロンビア大学 心理学准教授 心理学の分野で「新星」の1人として注目されている。自己認識と幸福についての研究を専門とし、「ニューヨーク・タイムズ」「グローブ・アンド・メール」「ロンドン・タイムズ」をはじめ多数のメディアで取り上げられている。また、『サイエンス』誌でも論文を発表している。
著者 マイケル・ノートンハーバード・ビジネススクール マーケティング学准教授 研究は『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』誌の「イヤー・イン・アイデア」特集で取り上げられた。TEDに登壇し「幸せを買う方法」について講演。
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
Prologue 「幸せをお金で買う」5つの原則 | p.11 | 10分 | |
Lecture1 経験を買う | p.25 | 25分 | |
Lecture2 ご褒美にする | p.61 | 27分 | |
Lecture3 時間を買う | p.101 | 27分 | |
Lecture4 先に支払って、あとで消費する | p.141 | 26分 | |
Lecture5 他人に投資する | p.179 | 30分 | |
Epilogue 視野を広げよう | p.223 | 21分 |
幸せのメカニズムを科学的研究に明らかにする学問。…