経営コンサルタントの神田昌典氏が、ダイレクト・マーケティングのノウハウについて、10年前に書いた原稿を書籍化したもの。現在でも通じる普遍的なマーケティングの手法が紹介されています。
■デメリットを伝える
広告宣伝では「次の行動をしてもらうためのメリット」を述べる事が重要だ。「次の行動」がカタログを請求する事であれば、「カタログを請求するメリット」を述べる。「商品を買うメリット」ではない。さらに重要な事は「来店するメリット」を述べるだけでなく「来店しないデメリット」を述べる事だ。
一般的に言って、人間は「新たなメリットを得る」ために行動するよりも、「現在あるデメリットを回避する」ために行動する動機の方が強い。例えば、「この学習法を知れば、成績は倍になる」という話よりも、「もっと成績が良くて当たり前なのに、この学習法を知らないために、本来の半分の成績しか得られない」という話の方が、より感情を揺り動かす。多くの人は、本来あるべき姿を回復するために、行動を起こす。
では、どうやって説得力を出していく事ができるのか。答えは「真実味のある証拠を見せる」という事だ。例えば、「社長の◯◯が間違えて二重発注してしまった。だから、そのままの価格で取っておいても、倉庫費用がかかるだけだから、思いっきり値段を下げて売ってしまいたい」という感じで、物語で語る事だ。
■まずニーズを確かめよ
商品があって、その商品をマーケティングするのではない。マーケティングをして、欲しがる人がいる事を確認してから、商品を作る。これは今でも、ダイレクト・マーケティングを進める上で、非常に重要な点である。
当時、多くの人は「商品志向」だった。つまり「この商品は売れる」と思って仕入れる。そして、自分本位に「この商品であれば、この価格で売れるはずだ」と価格を決定する。さらには「この商品はこのターゲットに売れるはずだ」と、その商品を売ってくれる人を探そうとする。これが大変な苦労をおびき寄せる。それよりは、お客を探す。そしてその後に、そのお客が欲しがる商品を提供する。これはダイレクト・マーケティングの考え方を利用すれば、かなりの小予算でテストできる事になる。
①まずファックスのDMを1枚書く
②その反応があったらレポートを書く
③レポートの評判が良かったら、セミナーを開く
④そしてマニュアルを作る
⑤その後、誰がどのくらいの価格であれば、購入するのかをテストする
このようにまずお客を探し、ニーズがある事を確かめてから商品を提供する事で、リスクが減らせるのだ。
■お客の頭の中を読む
購買欲求を起こさせるために重要なのは「お客の頭の中を読む」という事だ。これはチラシ、広告宣伝、DMの作成、また実際のセールストークでも極めて重要だ。まず自分自身にこんな質問をしてみよう。
①お客はどうしてここに集まっているのか?
②お客が嫌っている事は何か?
③どうして嫌っているのか?
④お客は何に悩んでいるのか?
⑤どうして悩んでいるのか?
⑥お客が恐れている事が何か?
⑦どうして恐れているのか?
「嫌い」「悩み」「恐れ」、人の痛みを理解する事で、お客に共感してあげる事が重要である。
著者 神田 昌典
1964年生まれ。経営コンサルタント アルマクリエイションズ代表取締役 大学3年次に外交官試験合格、4年次より外務省経済局に勤務。その後、米国家電メーカー日本代表を経て経営コンサルタントとして独立。 多数の成功企業やベストセラー作家を育成し、総合ビジネス誌では「日本のトップマーケター」に選出。 2012年、大手ネット書店の年間ビジネス書売上ランキング第1位。 2018年、マーケティング分野で歴史的権威があるDMA国際ECHO賞の国際審査員に抜擢。ビジネス分野のみならず、教育界でも精力的な活動を行っている。
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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プロローグ 1通のDMから、すべてが始まった | p.33 | 8分 | |
第1章 感情マーケティングの基本概念を紹介! | p.47 | 26分 | |
第2章 神田のマーケティング必殺技 | p.93 | 21分 | |
第3章 売上アップの「突破口」を探る! | p.129 | 31分 | |
第4章 お客様をファンにして、口コミを起こす方法 | p.183 | 40分 | |
第5章 私が犯した罪と罰 | p.253 | 24分 |
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