2013年末時点で確実に予測できる技術革新を前提に、自動車業界などがどうなるかを解説している本。10年後の未来のシナリオを予測しておくことが大切だと説く。
■確実に予測できる未来
長期の未来については確実に予測できる事が2つある。人口動態と技術革新である。このうち人口動態の要素には皆が気づいている。一方で「確実に起きる事が見えてきた技術革新」は、人によって見え方が違う。しかし、技術革新で無くなるものは、確実に予測できる。
・ブラウン管から薄型テレビへ
→薄型テレビの時代になるとブラウン管の技術で優位だったソニーは苦境に陥る
・液晶テレビは低コストで大型化が可能に
→コスト高のプラズマを主力にしているパナソニックは苦境に陥る
・携帯電話でゲームをするようになる
→任天堂は赤字になる
・写真はフィルムからデジタルへ
→コダックが破綻する
未来に影響を与える要素の中でも、実現が間近に迫った技術革新は、その事が引き起こす未来の変化を確実に予測できるものの1つである。
・自動車業界
2024年までの間に、安価な新興国製の電気自動車と、シリコンバレー製の自動操縦車によって、大きな変化が起きる。タイヤのブリヂストンや住友ゴム、窓ガラスの旭硝子や日本板硝子、ヘッドランプの小糸製作所やスタンレー電気、ブレーキのボッシュ、シートのセーレンといった電気自動車に時代が変わっても必要とされる部品メーカーは生き残るが、トヨタや日産などの自動車メーカーは大きな脅威にさらされる。
・テレビ業界
スマートテレビの登場により、テレビCMを見ている人が意外に少ない事実がわかってしまう。広告主は経済性を計算しながら、テレビ番組と連動したインターネット広告に力を入れることで、テレビ局の広告料が減る可能性がある。
・エネルギー業界
2024年には、アメリカの先行者としてのシェールガス支配が終わり、様々な国で安価なシェールガスが開発される状態に、世の中全体が移行する。そして世界全体でエネルギーの価格は大幅に下がる。結果として、バイオエタノールや、太陽光発電、風力発電といったグリーンエネルギーの開発事業者は太刀打ちできなくなる。
・銀行業界
日本以外の先進国でも高齢化が進み、人々の資金運用ニーズが高まる。貯蓄率の高いアジア新興国が成長することで、世界的にカネ余りの構造が進み、金貸しでは儲からない状況は悪化する。その結果、メガバンクは今よりも経営が厳しくなる。
著者 鈴木貴博
1962年生まれ。百年コンサルティング代表取締役 経営コンサルタント。ボストンコンサルティンググループ、ネットイヤーグループ取締役を経て、現在は百年コンサルティング株式会社代表取締役。企業の寿命30年に挑戦し、新しい成長分野を立ち上げる大企業向けコンサルティングが専門。
TOPPOINT |
マインドマップ的読書感想文 smooth |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.1 | 4分 | |
第1章 2024年・自動車業界の勢力図はどう変わるか? | p.13 | 30分 | |
第2章 2024年・テレビ業界激変で消滅するものは何か? | p.69 | 29分 | |
第3章 2024年のエネルギー業界の意外な敗者 | p.123 | 18分 | |
第4章 2024年の外食産業における勝ち残る条件 | p.157 | 18分 | |
第5章 2024年の銀行業界へのしっぺ返し | p.191 | 23分 | |
おわりに | p.234 | 3分 |
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