今読むべき優良ビジネス書が
すぐ見つかり、読んだ本を
しっかり自分の知識にするサイト

本を検索する

カテゴリーから探す

人気のタグ

お知らせ


Android無料アプリ配信中
2014/01/24更新

わたしが正義について語るなら (ポプラ新書)

87分

2P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

対象読者:

身に付く:

アマゾン詳細ページへ

正義のための戦いなんてどこにもない

現在も、バングラディシュやエチオピア、ブラジル、いろいろな国にストリートチルドレンや飢え死にしている子供がいる。どこかの国で戦争が起きると、戦争している国同士は両方正義だ、悪い奴をやっつけると正義が勝ったのだと言って戦っているけれど、子供たちの事は見てやらない。だから、僕が何かをやるとしたら、まず餓えた子供を助ける事が大事だと思った。

もう1つ戦争で感じた事は、正義というものはあやふやなものだという事である。21歳で戦争に行った当時は「天に代わりて不義を討つ」と歌う軍歌があった。兵隊になった時は、日本は中国を助けなくてはいけない、正義のために戦うのだと思って戦争に行った。しかし、中国の立場から見れば侵略してくる日本は悪魔にしか見えない。そうして日本が戦争に負け、すべてが終わると日本の社会はガラッと変化した。それまでの軍国主義から民主主義へ。正義はある日、突然逆転する。正義のための戦いなんてどこにもない。逆転しない正義は献身と愛である。

傷つく事なしに正義は行えない

54歳になった1973年、絵本『やさしいライオン』が好評で、フレーベル館から2冊目の絵本を書いて欲しいと注文がきた。そこで「あんぱんまん」を書いた。砂漠で疲れて動けなくなった人のところにアンパンマンがやってきて、自分の顔を食べさせる。

幼児用の絵本らしくなくて、主人公があまりかわいらしくなく、マントもぼろぼろ。本は大悪評だった。特に大人にはダメだった。出版社の人には「やなせさん、こんな本はこれ1冊にして下さい」と言われるし、幼稚園の先生からは、顔を食べさせるなんて残酷だと苦情がきた。絵本の評論家には、こんなくだらない絵本は図書館に置くべきではないと酷評された。

不評だったため、しばらくアンパンマンを描く機会はなかった。最初の絵本『あんぱんまん』が出版されてから、約5年が過ぎた。ある日近所のカメラ店にフィルムの現像を出しに行くと、店の主人が言いました。「先生、うちの坊主があんぱんまんが好きでね。毎晩読んでくれというもんだから、私まで覚えちゃったよ。」

これが最初の予兆だった。それから似たような話をあちこちで聞くようになった。幼稚園や保育園では人気で、図書館では『あんぱんまん』がいつも貸出中。アンパンマンを最初に認めたのは3〜5歳の幼児だった。アンパンマンがなぜウケるのか、今でも分からない。でも僕は真剣に考えるようになった。そして自分のメッセージをしっかり入れる事にした。

「正義とは何か。傷つく事なしに正義は行えない」