本当の正義とは何か。
アンパンマンの作者、故やなせたかし氏が、アンパンマンを書いた経緯や正義とは何かについて語っている1冊です。
■餓えた子供を助ける事が一番大事
1973年、最初に「あんぱんまん」を書いた時は全く自信がなくて、子供にはウケないだろうと思っていた。というのは、あんぱんまんの見た目があまりかっこ良くない。特に最初に書いた「あんぱんまん」はぼろぼろマントだし、かっこ良くない。だから、読者にはウケないだろう、でも、餓えた子供を助ける事が一番大事なんだと思って書いた。
僕が飢えを実感したのは兵隊として戦争に行った時だった。重労働は、若いから一晩寝ればなんともない。辛い訓練もあって毎日殴られるけれど、それにも耐えられる。耐えられないのは、食べるものがないという事だった。日本に帰ってみても、その当時の昭和20年代は本当に食べるものがなかった。毎日食べていくのが大変な時代だった。
本当の正義というものは、決して格好のいいものではないし、そのために必ず自分も深く傷つくものである。そして、そういう捨て身、献身の心なくしては正義は行えない。
あんぱんまんは、やけこげだらけのボロボロの、焦げ茶色のマントを着て、ひっそりと、恥ずかしそうに登場する。自分を食べさせる事によって、餓える人を救う。それでも顔は、気楽そうに笑っている。
著者 やなせたかし
1919年生まれ。漫画家 漫画家をめざしながら、三越宣伝部にグラフィックデザイナーとして勤務し、その後、舞台美術、作詞、放送作家など多方面で活躍する。1973年、月刊誌「詩とメルヘン」を創刊、責任編集を担当。同年、「キンダーブック」に「あんぱんまん」を初めて掲載、以後アンパンマンその他多数の絵本を出版。 1988年、「それいけ!アンパンマン」の放映が日本テレビ系列で開始されると、爆発的な人気を得る。2013年10月死去。
週刊 東洋経済 2013年 12/14号 [雑誌] |
日経ビジネス Associe (アソシエ) 2014年 02月号 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.3 | 1分 | |
第1章 正義の味方って本当にかっこいい? | p.13 | 11分 | |
第2章 どうして正義をこう考えるようになったのか | p.39 | 34分 | |
第3章 正義の戦い方 | p.117 | 11分 | |
第4章 ぼくが考える未来のこと | p.141 | 6分 |