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2014/02/05更新

統計データが語る 日本人の大きな誤解 (日経プレミアシリーズ)

  • 本川 裕
  • 発刊:2013年11月
  • 総ページ数:324P

235分

4P

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日本の技術は高まっている

ICメモリーや液晶パネルの世界シェアが落ちている事などをもって日本の産業競争力が低下していると言われる事が多い。しかし、今や、日本の製造業は基本的に欧米に対して技術輸出超過国である。北米に対して、製造業全体では1970年代前半には依存度80〜90%の状況にあったが、1997年度には依存から逆依存(輸出超過)に転換、2011年度にはマイナス53%と過去最低になっている。

さらに国際特許出願からみた世界のトップ60地域のランキングでは、第2位のシリコンバレーを押さえて、東京が1位となっている。日本産業の技術競争力は決して衰えているとはいえない。

経済格差は拡大したのか

相対的貧困率とは、国民を所得の高い方から並べて真ん中の人の所得を求め、この所得の半分の値を貧困線と仮定し、これ以下の水準にある人を貧困者として割合を示す指標である。貧困線は、一般にこれ以下では生活していけないと判断される基準である。2005年前後の国際比較において、日本は相対的貧困率が14.9%とされている。

しかし、これはあくまで仮定に過ぎず,国によって経済事情は大きく異なる。この相対的貧困率は年齢別の所得格差によって影響されている。日本には年功序列の考え方が根強く、年齢別の所得格差が大きいから相対的貧困率も高く出るという側面があり、これを無視して貧困度を論じる事はできない。2000年代後半には、むしろ低下傾向が表れている。近年の所得格差は、国民意識とは逆に、賃金カーブのフラット化や社会保障による低所得層の所得低下抑制機能によって、縮小している。

日本は世界一の「小さな政府」

日本の公務員数規模はOECD25カ国の中で最も少ない5.3%である。OECD平均は14.3%であるので、日本は先進国平均の4割以下の水準の公務員しか抱えていない。小さな政府の代表といわれる米国は14.1%と、決して小さな政府ではない。なお、最も公務員数が多いのはノルウェーの28.8%である。

無駄な公共事業が多いのは本当か

日本の公共事業の対GDP比率は、1980年代後半は4%台であったが、1991〜1993年にかけて6%を超えるようになった。しかし、1997年には財政再建路線へと舵が切られ、2008年には3.0%にまで落ち込んだ。2011年の公共事業費の対GDP比は3.1%となり、これはOECD34カ国中14位と中位の規模である。

OECD諸国の中で公共事業費の割合が最も高いのはポーランドの5.7%であり、韓国が5.1%。最も低い国はオーストリアの1.0%、ドイツの1.6%である。先進国の中で比較した場合、日本は災害が多いだけでなく、人口密度の低い市街地の拡大が進んでおり、投資効率が悪いため、値が高い。