クラウドソーシングとは
企業は今までのような多くの労働力を抱える事ができなくなっている。雇用の流動性を、非正規社員で確保しようとするのはそもそも無理がある。かといって、今後、正規社員のボリュームを企業社会全体で増やしていくのも現実的ではない。このいびつな構造を解決してくれる鍵がクラウドソーシングである。
クラウドソーシングとは、仕事を頼みたい人や企業と、自分のスキルや労働力を売りたい人をネット上でマッチングする事である。クラウドソーシングの画期的なところは、人の能力というリソースをネットの中に全部詰め込んで、欲しい時に、欲しい能力を、いつでも簡単にチョイスできるところにある。しかも、その際にかかる費用を限りなくゼロに近い微小なコストに抑えられるようにした。働く人にとっても、自分の得意な技術を磨いてそのスキルを企業に売り込む事ができる。この画期的なところは、雇う人と雇われる人がフェアな関係になる事である。
昭和の頃のように、従業員がずっと一緒に会社を発展させていきたくても、環境がそれを許してくれない。会社が従業員とともに発展していく道を捨ててしまった以上、そこで働く人達も生き方を変えなければならない時にきている。
自由な働き方ができる時代
個人の持つニッチな分野の労働力、ちょっとした空き時間を利用してできる作業などは、リアル世界ではコスト効率が見合わずにビジネスにならなかった。これらはインターネットを介する事で受注できるようになり、膨大な潜在需要が掘り起こされる事になるだろう。企画書を書くのが得意な人、スピーチ原稿を書くのが得意な人、今まではそれだけではとても商売にならなかったかもしれないニッチな分野でも、クラウドソーシングを利用すれば、独立して、フリーの立場で仕事が受けられるようになる。既に海外では、クラウドソーシングの登場によって、自由な働き方を手に入れている人が急増している。ECサイトと同じように、あるユニークな能力を持った人に、世界中から「あなたのスキルをぜひ、当社に売って下さい」というオファーが直接舞い込んでいるのである。
ある予測では、2020年までに世界中の3人に1人はインターネットを介して働く「オンラインワーカー」になり、クラウドソーシングの市場規模は2兆円を超えると予想されている。
既にクラウドソーシングの登場によって、世界中の人達の知恵や労働力を、瞬時に、低コストで調達できるようになった。そしてこれは、働く側にとっても大きなメリットを生んでいる。現在、ビジネス英会話に支障がないレベルの英語力を持っている人であれば、今日からでも、直接外国企業から仕事を請負う事が可能である。発想を変えると、日本のどこに移住しても海外に移っても、あるいは世界一周旅行をしながらでも、全く問題なく仕事が続けられる事になる。