恐怖をコントロールする
勇気指数を高めるためのテクニックの1つが「感情のシーソーに乗る」である。私達はある時は不安を感じ、ある時は落ち着きを感じる。ここで、勇気と対になる感情が恐怖である。より良く生きるための秘訣は、恐怖を味方にすべき時と、恐怖から目を背けるべき時をうまく使い分けられるようになる事である。
私達は自分自身の事が気になれば気になるほど、恐怖を感じやすくなる。恐怖をコントロールする秘訣は、自己中心的な偏見を避ける事である。自分が何かを失う事や、不快さを感じる事から、自分の外側にフォーカスを移す事によって、恐怖を和らげる事ができる。
一方で、他者に自分を良く見せたいというある種の自己中心的な考え方は、他者を助けるための行動へ向かうというメリットもある。大切なのは「恐怖など全く感じていない」という振る舞いをするのでなく、自分がどの程度まで恐怖に耐えられるかを把握し、それに従って恐怖をコントロールする能力を持つ事である。行動をとらない事による損失に注目する事は、恐怖を抑え、自分を行動に向かわせる高度な方法である。
恐怖が行動を躊躇させる感情であるなら、その恐怖を上回るさらに強い感情的な反応によって、私達は速やかな行動に導かれるはずである。人間の「感情のパレット」には、恐怖を克服するだけの強さを持つ、唯一の感情がある。それは怒りである。怒りの感情によって、強い気持ちで即座に行動するよう駆り立てられる。但し、勇気を高めるための手段として怒りを使う事には、物事を冷静に熟考しにくくなるというデメリットがある。
行動意志を強化する
勇気指数を高めるための秘訣は、勇気が要求される役割に身を置き、臆病さが促される役割に身を置かないようにする事である。状況によって、私達の決意や自発性がどのように奪われ、その事によって勇気ある行動が阻害されているかを理解する事で、私達はこれらの影響を受ける事なく、行動意志を高める事ができる。
勇敢な行動は、様々な社会的なメカニズムによって妨げられる。勇気の障害には次の3つの要因がある。
①ある状況下で行動の方法を誤って予測する傾向
②周囲に順応しようとする傾向(同調と服従)
③傍観者効果
集団への帰属願望は強力だが、勇気ある行動をとるためには、毅然として集団に抵抗すべき時もある。こうした同調圧力や傍観者効果から逃れるためには、行動の決定を、5つの小さな判断に分割する事が効果的である。
①出来事を認識する
②緊急事態である事を理解する
③自分に問題に対処する責任があると感じる
④問題に対処するための方法がわかる
⑤行動を決断する